成長株の賞味期限：上昇しない理由はコレ

M＆A仲介各社の決算発表後の株価の反応から受けた衝撃

　3月期決算企業の第3四半期決算（2022年4月～12月）の決算発表が佳境を迎えています。決算発表後に株価が急騰する銘柄、急落する銘柄が数多くあることはいつも通りのことですが、今回は今のところ、意外と株価が大きく上昇するケースが多いように感じます。

　筆者が個人的に衝撃を受けたのが、M＆A（企業の合併・買収）仲介各社です。

　M＆A仲介をメイン事業として手掛ける上場企業はいくつかあり、その中でも日本M＆Aセンターホールディングス（2127）、M＆Aキャピタルパートナーズ（6080）、ストライク（6196）が御三家といわれ、老舗の部類に入ります。このほか、オンデック（7360）、名南M＆A（7076）といった新興組も上場しています。

　決算発表後の株価の動きで筆者が衝撃を受けたのは、この御三家です。日本M＆AセンターHD、M＆Aキャピタルパートナーズ、ストライクの3社とも、決算発表後株価がストップ安まで売り込まれたのです。

　一方、2022年6月に上場したばかりのM＆A総合研究所（9552）の決算発表（9月期決算企業なので第1四半期決算）を受けた株価の反応は非常にインパクトがありました。発表後、2日連続のストップ高まで駆け上がったのです。

　この一連の出来事から、筆者はM＆A仲介業界の新旧交代が起こったように感じました。

同じ成長株でも上昇しているものとしていないものがある

　筆者は近年、成長株メインに投資していますが、2022年の東証マザーズ指数が26％下落したことからもわかるように、金利上昇が続いていたこともあり、成長株には逆風が吹いている状況です。

　しかしその一方、先のM＆A総合研究所のように、株価が順調に上昇している成長株も少なくありません。

　筆者は日々数百銘柄の株価チャートをウオッチして変化の兆候を探していますが、昨年あたりから、同じ成長株であっても株価の動きに大きな違いが表れていると実感しています。

　つまり、「上昇していない成長株」と、「順調に上昇している成長株」です。そして、前者は上場してだいぶ日がたっている成長株、後者は上場してまだ日が浅い成長株にそれぞれ該当するケースが多いと感じています。

なぜ上昇していない成長株が目立つのか？

　これはいったいどういうことなのでしょうか。上昇していない成長株が目立っている理由として、筆者が考えるのは次のようなものです。

（1）成長ペースが鈍化してしまった

　例えば毎年20％、30％という高成長を遂げている銘柄でも、そのペースがいつまでも続くわけではありません。どこかで成長が鈍化します。

　しかし、20％、30％の高成長が今後も続くという前提で株価は形成されているので、もし成長率が10％とか5％に鈍化した場合は、それだけで株価は大きく下落してしまいます。

（2）高い成長をすでに株価が織り込んでしまった

　2020年4月以降は、特に成長株にとってはバブル気味の上昇となりました。半年で3倍、5倍にまで駆け上がった銘柄も少なくありません。その際、PER（株価収益率）が100倍超というものもめずらしくありませんでした。

　しかし、高成長を株価が完全に織り込んでしまえば、株価は天井を付け、その後は下落に転じてしまいます。いうなればバブル崩壊です。

　世界各国の高インフレ、金利上昇により将来のお金の価値が低下し、高いPERが許容されにくくなっているのも向かい風となり、株価が大きく値を下げてしまうものが目立っています。

結論：成長株であっても株価が下降トレンドになったら保有しない

　成長株への投資は、時に個人投資家に大きな利益をもたらしてくれる半面、成長が鈍化したり成長が止まった銘柄をいつまでも保有し続けると、驚くほどの損失を被ってしまうという側面もあります。

　そして、成長株といっても未来永劫（えいごう）成長が続くわけではなく、やはりその企業の「旬」「賞味期限」というものがあります。

　その意味では、上場してからあまり時間がたっていない企業の方が、「伸びしろが大きい」といえ、それが順調な株価上昇につながっていると考えられます。

　ただ、中には5年、10年と高成長が続き、その間株価が大きく上昇して50倍、100倍になる銘柄もあります。

　それらをあらかじめ見分けることは個人投資家レベルではなかなか困難ですから、業績が伸びている成長株へ投資するときには、必ず株価のトレンドが上昇トレンドの間だけ保有するようにしましょう。下降トレンドに転じたら成長性鈍化を株価が織り込み始めている可能性がありますから、いったん売却して様子見をすることを強くお勧めします。

　また、業績面でも成長の鈍化や利益減少が明らかになったら、少なくとも「成長株」としての投資対象からは外しておいた方が無難です。

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