2023年の中国経済展望:GDP成長率、コロナ禍、不動産市場

 2023年の中国経済に関して、注目したい点はたくさんありますが、ここでは三つ挙げたいと思います。

 一つ目が、GDP(国内総生産)の成長率です。2022年は5.5%前後という目標が掲げられました。ふたを開けてみると、「ゼロコロナ」策が景気動向に大きく影響し、1~3月期4.8%増、4~6月期0.4%増、7~9月期3.9%増と低迷。10~12月期の結果を待たずして、目標達成はほぼ不可能で、今年の経済成長は2~3%台に落ち着くのではないでしょうか。そんな中、来年の回復が見られるのかどうか。私の予測では、中国政府は来年も5%以上といった成長目標を掲げると思われます。

 二つ目が、コロナ禍の推移です。前述したように、「ゼロコロナ」策はもはや過去の遺物と化し、これからは「ウィズコロナ」を前提に経済活動との共存両立が追求されていく見込みです。一方、感染者数の急増は短期的には景気下振れ圧力にもつながります。中国社会全体が「ウィズコロナ」という新常態に円満にアジャスト(適応)できるか否かが、来年の経済情勢にも深い次元で影響していくと思われます。

 三つ目が不動産市場です。前の図表にも示されているように、今年に入って以降、不動産市場は下降をたどっています。11月、中国政府が発表する70の大都市・中級都市の住宅価格に関して、前月比で新築が51都市、中古が62都市で下落、前年同月比では、それぞれ51都市、64都市で下落しています。恒大集団のデフォルト(債務不履行)問題などを含め、この期間「刷新」に見舞われてきた不動産企業・市場ですが、今回の会議では、「不動産という産業が新たな発展モデルに平穏に移行するプロセスを推進する」とうたっています。

 12月15日、中国・EUビジネスリーダー対話に出席した劉鶴(リュウ・ハー)国務院副総理が、「不動産は国民経済にとっての支柱産業であり、昨今生じている下振れリスクに対し、我々は一連の政策を打ちだし、新たな措置も検討している…将来の一定期間、中国の都市化は依然比較的早い発展段階にあり、不動産業界が安定的に発展していくための十分な住宅需要がある」との見方を示し、市場関係者を宥めるべく発信しました。

 不動産市場の回復なくして、中国経済の回復なし、ということでしょう。