逆指値の売り注文の活用は「損失の拡大を防ぐ」のが目的

 逆指値の売り注文は、「ここまで株価が下がったら売る」という意味を持ちます。したがって、例えば25日移動平均線を割り込んでトレンド転換となったら利食いないしは損切りを行って、それ以上の株価下落による利益減少や損失拡大を防ぐのが目的となります。

 もし上記の例で、あらかじめ985円まで株価が下がったら売却するという逆指値の売り注文を出していたらどうだったでしょうか?

 985円まで株価が下がったところで売り注文が発注されるため、おそらく985円に近い株価で売却ができ、それ以降株価が900円、800円と下落しても事なきを得ることができます。

 ただ、買いと同様「ヒゲ」には弱いです。例えば1,000円から980円まで下がって、985円の逆指値に引っ掛かり、売り注文が成立した後に1,050円まで株価が上昇したような場合は、逆指値注文を出さなければ売らずに済んだのに…という後悔が生じることが結構あります。

 また、朝から窓を開けて大きく下落した場合も、逆指値注文が有効に機能しないことがあります。

 こんなときは、自分がなぜ逆指値の売り注文を使うのかを自問自答してみてください。もし適時の売却・損切りを行って大きな損失を回避したいのであれば逆指値の売り注文は大いに活用すべきです。一方、ヒゲに引っ掛かり、必要のなかった売却をしてしまうことを避けたいのであれば、逆指値注文は使うべきではありません。

 筆者は、大きな損失を避けることが株式投資で最も重要だと思っていますので、逆指値の売り注文は積極的に使っています。

逆指値売り注文に「指値」を使うべきでない理由

 前回のコラムで、逆指値の買い注文にて「逆指値の成行」と「逆指値の指値」の使い分けをお話ししましたが、逆指値の売り注文においては、筆者は「逆指値の成行」一択です。

 そもそも、なぜ逆指値の売り注文を出すのでしょうか? それは、売却すべき価格、損切りすべき価格に株価が到達したら確実に売却し、損失の拡大を防ぐためです。

 でも、もし「逆指値の指値」で売り注文を出したら、トリガー価格に達したあとに指値注文が発注されることになり、指値によっては売買が成立しないかもしれません。

 絶対に売却しなければいけないのに売買が成立しないかもしれない指値注文を使うべきではなく、売買が確実に成立する成行注文を使うべきなのです。

 売りたい株価まで株価が下がったら売るのが逆指値注文なのですから、注文が成立しない可能性がある「逆指値の指値」は使わないという選択肢におのずとなるはずです。

逆指値付通常注文とは?

 最後に、逆指値付通常注文について解説します。これは、例えば保有している株式につき、通常の売り注文と逆指値の売り注文の両方を同時に出すことができるものです。

 現在の株価が1,000円のA社株を持っているとします。買値は950円です。

 この株が1,100円になったら利食い売りをしたい一方、900円まで下がったらそれ以上の損失拡大を防ぐために損切りの売却をしたいと思っているようなとき、逆指値付通常注文を使うのが便利です。

 具体的には、「1,100円の指値注文(1,100円まで株価が上昇したら売る)」と、「900円の逆指値注文(900円まで株価が下落したら売る)」を同時に発注することになります。

 利食いと損切りの注文を同時に出すことができるのが魅力ですが、筆者は利食いの価格をあらかじめ決めることはせず、上昇トレンドが続く限り保有を続けたいので、逆指値付通常注文は使いません。逆指値の売り注文を使って株価下落に対応します。

 もちろん、逆指値付通常注文が自分にとって役立つと思う方はどんどん活用していただければよいと思います。

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