「逆指値注文」を使ったことはありますか?
先日のコラムにて、「指値注文」と「成行注文」の二つの注文方法、および買い注文と売り注文のそれぞれにおいて、二つの注文方法をどのように使い分けるかについてお伝えしました。
指値注文と成行注文の特徴を知って上手に使い分けよう(その1)概要と買い注文
指値注文と成行注文の特徴を知って上手に使い分けよう(その2)売り注文編
株式投資における注文方法は、この二つだけではありません。証券会社によって異なりますが、多くの証券会社で選択できる注文方法の一つが「逆指値注文」です。
逆指値注文とは、言葉の通り指値注文の逆の注文という意味です。しかしこれでは何のことやらさっぱり分からない、という方も多いでしょうから、かみ砕いて説明します。
例えば現在の株価が1,000円のA株があるとします。1,000円ではちょっと高いが、950円になったら買ってもよい、と思ったら950円の指値で買い注文を出します。これが通常の指値注文です。
一方の逆指値注文は、1,000円だと買えないが、1,050円になったら買いたい、という時に1,050円の逆指値で買い注文を出します。
この両者で何が違うかと言えば、通常の指値注文は950円まで株価が「下がったら」買うのに対し、逆指値注文は1,050円まで株価が「上がったら」買うという点です。
売り注文も同様で、通常の指値売り注文は、現時点より株価が「上がったら」売るのが指値注文、「下がったら」売るのが逆指値注文です。
「逆張り派」は逆指値注文のメリットを感じることができない
この逆指値注文、筆者が株式投資を始めた24年前にはありませんでした(というよりネット証券がそもそもまだありませんでした)。
逆指値注文が使えるようになったとき、「これは画期的な注文方法だ」と感動したのを今でも覚えています。
ところが、逆指値注文の説明を聞いて、「この注文になんの意味があるの?」と思う個人投資家の方も多いと思います。
なぜなら、今1,000円の株価がついている株を1,050円という、今より高い株価で買うという行為そのものが理解できないからです。なぜわざわざ株価が高くなってから買うのか?
そんなことをするなら、今すぐ1,000円で買えばよいではないか? こういう考え方をする方が多いのではないでしょうか。
売るときも同じです。今1,000円の株を950円になってから売るなら、今1,000円で売った方が明らかに高く売れる。その方が得ではないか?と考えるはずです。
実はこうした考え方をする方は「逆張り」志向なのです。
株式投資の手法が「逆張り」の方は、逆指値注文のメリットを感じることができないと思います。一方、「順張り」の方は、逆指値注文の素晴らしさに感動を覚えるはずです。
これほどまでに、株式投資の手法により、逆指値注文に対する印象が異なるのです。
なぜわざわざ「高く買い」「安く売る」のか?
ここまでご説明してきた通り、逆指値注文は今ついている株価より「高く買い」「安く売る」方法です。
わざわざこんなことをするのには、もちろん理由があります。それは「トレンドが変化したら売買する」というのが順張り派のニーズであり、それに応えてくれるのが逆指値注文だからです。
要は、現在ついている1,000円という株価が、下降トレンドであるならば買わないというのが順張り派の考え方です。
でも、例えば25日移動平均線が1,035円にあり、これを少し超えた1,050円になったら、移動平均線を突破して上昇トレンドに転換し、さらなる株価上昇が見込めるので買いたい…。これが順張り派のニーズなのです。
売りも同様で、現在ついている1,000円では売らず、950円になったら売るという逆指値注文は、1,000円であれば25日移動平均線の上に株価があるので売却する必要はないが、950円まで下がったら25日移動平均線を割り込んでしまい、売らざるを得ないという意味なのです。
逆指値注文のメリットとは?
移動平均線を超えたら買う、割ったら売るというように、トレンドの変化を待って買ったり売ったりするだけなら、逆指値注文を使わずに、通常の注文(主に成行注文)を使っても可能です。
移動平均線を超える、もしくは割るのを待ってから注文を出せばよいからです。
ただ、株価は時に大きく動くこともあります。例えば1,050円になったら買おうとしている株があって、昨日の終値が1,040円であれば、まだ今日は買わないという判断になります。
ところが、今日の株価が取引時間中に一気に上昇し、1,150円まで上がって終わったならば、買い時を逸してしまうことになります。少なくとも筆者であれば買いは諦めます。
特に、昼間なかなか株価を見れない会社員の方は、自分が株価を見ていないうちに株価が急騰したり急落したりすると、もはやなすすべがありません。
でも、もし上のケースで1,050円になったら買うという逆指値注文をあらかじめ入れていたらどうでしょうか?
寄り付きから窓を開けて上昇しなければ、1,150円まで上昇する過程で1,050円の株価を付けますから、その時点で買い注文が発注され、希望していた株価に近い価格で買うことができるのです。
このように、あらかじめ逆指値注文で売買の予約をしておくことにより、取引時間中に逆指値にヒットした場合、自動的に売買の注文を発注してくれるというのが逆指値注文の大きなメリットです。
逆指値注文を活用することにより、突然の株価の急騰や急落により買い時・売り時を逸してしまうリスクを軽減することができるのです。
次回以降、逆指値注文を具体的にどのように活用するのか、そして逆指値注文の派生形である「逆指値付通常注文」について解説していきたいと思います。
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