ガソリン下落でも、バイデン不支持は高止まり

 この2カ月間、米国のガソリン価格は下落し続けています。6月中旬のピークからおよそ20%下落しました。原油価格の下落が主因です。節目とされる4ドル(1ガロン=約3.8リットルあたり)を割り込み、割高感が薄れつつあります。

図:米ガソリン価格とバイデン氏不支持傾向の推移

出所:Real Clear PoliticsおよびEIA(米エネルギー情報局)のデータをもとに筆者作成

 一方、ジョー・バイデン氏の不支持傾向(不支持率―支持率)は、高止まりしています。ガソリン価格が下落することで、現在の米国国民の最大の心配事である「物価高(インフレ)」が沈静化に向かい、サウジアラビアに原油高是正のために増産を直談判しに行ったバイデン米大統領への評価が高まることが予想されていました。

 ガソリン価格下落、不支持傾向高止まり。この傾向から、ガソリン価格の下落は、バイデン氏の功績とみなされていないことがうかがえます。原油やガソリン価格が下落していても、バイデン政権はまだしばらく、不安と戦う状態が続きそうです。

 こうした不安は、米国の政局混乱を想起させます。政局の混乱は、結びつきが強い国に不安が波及する可能性があり、注意が必要です。