原油下落でも、天然ガス・石炭はまだ高い

 ガソリン価格が下落しているものの、バイデン政権はしばらく不安を抱え続ける可能性があると、述べました。ここからは、世界全体に目を向けます。以下のグラフは、各種エネルギーの国際価格の推移です。

図:エネルギー価格の推移(2022年1月3日を100)

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 原油価格こそ下がっているものの、天然ガスと石炭価格は高騰が続いています。天然ガスと石炭の価格高騰は、電力価格高騰の直接的な原因になり得ます。電力価格高騰は、家庭や企業、公の場など、至る所での活動コストを押し上げ、インフレを加速させます。

 原油は「経済の血液」と言われ、燃料だけでなく、プラスチック製品や衣服などの原料として、世界中で用いられています。このため、「原油高=インフレ進行」「原油安=インフレ沈静化」という構図がすぐにイメージできます。

 とはいえ、イメージしやすいからといって、インフレの動向を原油だけに求めてはいけません。天然ガスと石炭価格の上昇が、電力価格(=経済活動時のコスト)を上昇させ、インフレを進行させる大きな要因であることにも、注意を払う必要があります。

 足元、原油価格が下落していても、天然ガスと石炭の価格は高騰したままです。まだまだ世界に、大きな不安が残っていると言えます。