衆議院解散総選挙で自公過半数割れに
10月27日、衆議院解散総選挙が行われました。自民党・公明党の与党が過半数割れとなり、立憲民主党が大きく議席を伸ばす結果となりました。
株式市場は政権の安定化を望みますから、自公過半数割れとなり、政権運営が不安定な状況が続きそうだ、ということであれば株価にはマイナスです。当面の間株価が軟調な展開が続くのかもしれません。
今回の衆議院選挙は、政治資金が焦点となった結果、自民党・公明党の与党が敗れたという構図になっていますが、株式投資という面から見れば、財政政策や金融政策がどうなるかという点が大いに気になるところです。
この点、自民党の石破茂首相も、立憲民主党の野田佳彦党首も、消費税の引き上げが必要としており、少なくとも一部野党が主張するような消費税の税率引き下げ、廃止という形は難しそうです。
また、日本銀行もさらなる利上げに意欲を見せておりますが、7月に0.25%の利上げをしただけでマーケットが大きく荒れたことからも、利上げは日本経済にマイナスであると投資家はみていると言えます。
日本の実態はデフレ?
足元の日本の状況を見ると、物価上昇によるインフレの傾向がありますが、これは国内での需要が高まったために生じている「良いインフレ」ではなく、円安などによるコスト高により物価が上がる「悪いインフレ」です。
実質賃金も連続して減少しており、消費者の可処分所得が減っていることは間違いなく、デフレの中で物価だけが上がっているというのが実態でしょう。この状況が続けば消費者は財布のひもを締めることになるでしょう。
そんな中で仮に消費税増税を含めた緊縮財政や、利上げという金融引き締めを行えば、さらに実質的なデフレの状況が強まるでしょうし、円安が進行し輸入コストの高まりが続けば、景気が悪いのに物価が上昇する、というスタグフレーションの状況に陥ってしまいます。
もしそれが明確になってくれば、日経平均株価は大きく下がってしまうことになるでしょう。
デフレ下の銘柄選びのポイントは?
では、事実上のデフレ、スタグフレーションが今後進むとした場合、銘柄選びをどのように考えていけばよいのでしょうか。
もしデフレ、スタグフレーションとなった場合、消費者は消費を抑えるでしょうし、高い買い物も控えることになるでしょう。
そうなると多くの企業も業績に大きな影響があるでしょうし、株価も下落してしまいます。
従って、ポイントとなるのは「価格競争力が高い」のかどうかです。
言い換えれば「値下げをする力があるか」「値下げしなくても売る力があるか」です。
デフレになると、消費者の財布のひもが固くなりますから、価格が低いものを買うようになるでしょうし、同じ品物なら価格が低い店で買うようになるでしょう。
その時、企業側に価格を下げる力があれば、値下げにより消費者を引き付けることができますが、そのためには高い利益率を有している必要があります。
ですから、利益率の高低に注目すべきですし、過去のデフレ時に低価格商品や値下げ戦略で業績を伸ばした企業もチェックしておくのがよいでしょう。
値下げしなくても売る力を持つ企業の特徴は
「値下げしなくても売る力があるか」は、その企業にブランド力があるかどうかです。ブランド力が高ければ、多少価格が高くても消費者が信頼して商品を購入してくれるからです。
ただ、ブランド力というのは未来永劫(えいごう)続くのではなく、世の中の状況に伴い移り変わるものですので、やはり上で述べた利益率が高いかどうかは重要なポイントになります。
「値下げしなくても売る力があるか」のもう一つは、そもそも富裕層をターゲットとしたビジネスをしているかどうかです。
デフレになり景気が悪化しても、富裕層にはそれほど大きな影響が生じない可能性があります。
確かに株式市場が大きく下げてしまえば、いわゆる「逆資産効果」により富裕層の消費も減ってしまうでしょうが、そこまで大きな下げにならなければ富裕層相手のビジネスは大きな影響を受けないものと考えられます。
最後に、デフレに強い企業といっても、マーケット全体が大きく下がればその影響をどうしても受けてしまいます。どこまで下がったら売るかというルール設定を徹底し、大きな損失を回避することは忘れないようにしましょう。
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