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緊張感高まるドル/円・豪ドル/円相場
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

緊張感高まるドル/円・豪ドル/円相場

2013/8/8
「8月は危機の月なのか?」というレポートを先週書いたが、2000年以降の相場で3勝10敗となっている8月のドル/円相場は、今年もここまでドル安・円高推移となっている。
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8月は円高か?

「8月は危機の月なのか?」というレポートを先週書いたが、2000年以降の相場で3勝10敗となっている8月のドル/円相場は、今年もここまでドル安・円高推移となっている。

ドル/円(月足)とフィボナッチのリトレースメント

8月相場 赤が円高・青が円安 8月は確率的には円高の月


(出所:石原順)

大局的には5月23日以降、目先の相場では7月25日以降、日経平均もドル/円も乱高下しながら株安・円高方向に推移している。

筆者はここ数回のレポートで、

  1. ドル/円が調整相場に入っていること
  2. 相場の上げ下げがラッパ型に拡張していく「拡張型反転波動」の局面ではジグザグの不安定な相場が続きやすい

ことを述べてきた。「日柄(往ったり来たりの往来相場)か値幅のどちらかで調整する局面(過熱感の調整)」であり、現在の相場に違和感はない。

日経平均(日足) 5月以降、乱高下相場が続いている 本日、下値抵抗線をブレイク

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円の一目均衡表が「三役逆転」に

現在の相場の下げ過程では株式市場で日銀のPKO(ETF買い等)が確認されている。為替市場でも、「政府系機関が一目均衡表の<雲>の下限で買いを入れている」「95円台に大きな政府系機関の買いがある」等の噂が流れているが、そういった観測をあてにした円売りポジションが一目均衡表の<雲>の下抜けで損失を拡げているのが短期的な状況だ。

ドル/円日足の一目均衡表は、「転換線が基準線を下抜け」「ローソク足が雲を下抜け」「遅行線がローソク足を下抜け」という3つの動きが同時に出る「三役逆転」となっており、ドル売り・円買いのサインが点灯している。

ドル/円(日足)と一目均衡表 「三役逆転」に


(出所:石原順)

「移動平均リボン」を大きく割り込んで投機筋がポジション調整に動く

海外ファンドの注目点は一目均衡表ではなく、ドル/円相場が1~3カ月の市場参加者のコストである「移動平均リボン」を大きく割り込んできたことである。今年の相場でドル/円相場が「移動平均リボン」を大きく割り込んだのは6月相場以来だが、8月相場でも6月相場のような急落が起こる可能性に留意すべきだろう。

ドル/円(日足) 移動平均リボン(黄色の帯)・上値抵抗線(赤)

移動平均リボンを大きく割り込みポジション調整相場に…


(出所:石原順)

「米国の緩和縮小」と「日本の緩和拡大」という金融政策の大転換を受けて、今年は投機筋の円売りポジションは積み上がりやすい状況にある。7月30日現在の「シカゴIMM円のポジション」は高水準の円売り持ちとなっており、移動平均リボン(市場参加者のコスト)割れから円売りポジションの崩落に注意が必要な局面となっている。ブローカーの話では今週に入ってファンド勢は円売りポジションの解消に動いているらしい。

シカゴIMM円のポジション

投機筋の円売りポジションは高水準 ポジションの崩落に要注意!
(CFTC発表 7月30日現在)


(出所:石原順)

ドル/円(日足) 今週から円高トレンド発生

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

豪ドル/円は上げ幅の61.8%押し水準の攻防に

ドル/円以上に投資家を悩ましているのは、ゴールドと豪ドル/円である。ゴールドも豪ドルも超人気商品であり、これまで買われすぎたポジションの縮小が続いている。ゴールドと豪ドル/円をポートフォリオに組み込んでいる運用者は、「両方ともダラダラと下げ続け、好材料に対しても反応がない。相場が反転するシグナルがみえてこない」と苦しんでいる。

ゴールド先物(日足) 4月の急落以降は軟調な相場が続いている

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

豪ドル/円(日足) 昨年からの上げ幅の61.8%押し水準まで下落

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

5月以降「商品(コモディティ)相場のスーパーサイクルは終った」と囃して一部の投機筋が豪ドルを売りまくっているが、豪ドル/円の下げは昨年6月安値から今年5月までの上げ幅の61.8%押し水準に達している。ここをキープ出来るか否かが目先の焦点となりそうだ。

  1. 「豪ドルは4月初旬から15%程度下がったが引き続き高い水準にある。為替レートは時間とともに一段と下落する可能性ある」と、豪当局が通貨安を望んでいる
  2. 利下げサイクルの終わりが見えない
  3. 中国経済が不安

など、豪ドルの売り材料を上げればきりがない。

上記の理由から豪ドル/円相場は弱い基調が続いているが、相場は循環であり下げ続ける相場はない。今年の10月末から来年の4月末にかけては「上げ循環に転換する可能性が高い」と筆者はみている。

豪ドル/円(月足) 10月末買いの4月売り 赤は失敗の年

緑のゾーン(10月末から4月)までいかにしのぐか?
来たるべき“円安”時期は、例年の循環をなぞる確率が高い


(出所:石原順)

カナダ/円(月足) 10月末買いの4月売り 赤は失敗の年


(出所:石原順)

ユーロ/円(月足) 10月末買いの4月売り 赤は失敗の年


(出所:石原順)

月別の円相場の動き


(出所:石原順)

月別の日経平均の動き


(出所:石原順)

「市場」対「ホワイトハウス」という新FRB議長人事に波乱の芽

今の円相場を動かしているのは、日本の材料(アベノミクス)ではない。相場の焦点となっているのは「QE縮小の時期」と「新FRB議長人事」である。QE縮小時期は9月か12月かという時間の問題であり、縮小自体は既定路線だ。問題は新FRB議長人事である。

市場関係者の多くはイエレンを望んでいるが、オバマ大統領やホワイトハウスの経済担当チームはサマーズを望んでいる。サマーズは量的緩和政策に否定的であり、イエレンとは政策が全く違う。市場対ホワイトハウスのFRB議長人事に決着が付くのは早くて9月である。それまでは大きなポジションをとる運用者はいない。

いずれにせよ、8月相場はボーリュームが薄く価格変動が増幅しやすい。円相場は投機筋のポジション整理相場となっており、リスク管理を怠らないことが重要である。

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