あなたの株式投資に対する考え方は「楽観的」?それとも「悲観的」?

 最近、個人投資家の方からの相談に乗る機会が多いのですが、相変わらず多くの方の悩みは「塩漬け株」に困っているというものです。

 塩漬け株が存在する場合の対応法は以前のコラムでもご紹介しましたのでそちらをご覧いただきたいのですが、やはり塩漬け株をつくらないに越したことはありません。

 なぜなら塩漬け株は見込み違いの株を長期間持ち続け、投資資金を固定化することにつながり、それによって個人投資家の資金効率を著しく低下させてしまうからです。

 個人投資家の方と話をして感じたことを筆者なりに整理したところ、株式投資に対して「楽観的」なのか、それとも「悲観的」なのかという考え方の違いにより塩漬け株をつくってしまうかどうかが変わってくるのではないかと強く感じています。

 そこで今回は、株式投資をするにあたっての根本的な考え方の違いが、投資成果にどのような影響を及ぼすか、そして損失を最小限に抑えて下げ相場を上手に乗り切るためにはどうすればよいかについて考えていきたいと思います。

塩漬け株をつくってしまう個人投資家に共通している心理とは

 塩漬け株に悩んでいる個人投資家の方に話を聞くと、面白いほど共通している心理があります。

 実はほとんどの個人投資家の方は、塩漬け株を解消したいと思っています。ところがある心理が働くことにより、それを自ら拒んでしまっているのです。

 それが、「塩漬け株を売却したあと株価が上がってしまうかもしれないと思うと売ることができない」というものです。このコメントは、本当にほとんどの方が口にされます。

 では、この心理の根底にある考え方は何かといえば、「今は下がってしまったけど、持ち続けていればきっと株価は上がるのではないか?」という楽観的な気持ちなのです。

 ただ、この感情はおそらく無意識のうちに持っているため、ご自身では気付いていないのだと思います。

 ですから、この無意識の楽観的な感情を、意識的にコントロールすることで、塩漬け株をつくってしまう心理状態から解放されると筆者は感じています。

筆者が塩漬け株を一切つくらないのは「悲観的」だから

 筆者は、塩漬け株を一切保有していません。塩漬け株になってしまう前に必ず売却・損切りを実行しています。

 その根底にある心理は、「このまま持ち続けてさらに株価が大きく下がってしまったら困る」というものです。

 こう話すと、塩漬け株をつくってしまう個人投資家から、「でも損切りしたあと株価が上がるかもしれない。上がったらどうするの?」という疑問が投げかけられますが、それに対する筆者の回答は極めてシンプルです。

「損切りしたあと株価が上がったら、買い直せばよいだけ」です。

 塩漬け株をつくってしまう個人投資家は、下がることより上がることを考えた結果、損切りできずにいるのです。

 でも筆者は、株式投資で大失敗しないためには、売った後に上がることより売らずに持ち続けた結果さらに下がってしまうことによるダメージを絶対に回避すべきと思っているので、損切りをちゅうちょなく行います。その結果、塩漬け株が一切生じないのです。

 そしてこの悲観的な感情というのは、今まで筆者が24年間の株式投資で経験してきた株価の想定外の下落や、損切りが遅れたことにより多額の損失を被った2008年9月のリーマン・ショックでの失敗などの、実体験に基づくことが大きいと思っています。ですから、筆者なりに根拠をもって悲観的に考えているのです。

 言い換えれば、悲観的に考えることにより、早期の損切りを実行しているからこそ、大きな下げ相場が到来しても大きな失敗を回避し、生き残ることができているのだと思っています。

楽観的な個人投資家はハイリスク・ハイリターン

 実は、楽観的に構えることがプラスに働く局面もあります。それは長期的な株価上昇が続いているときです。

 筆者であれば、長期的な株価上昇のさなかであっても、株価が移動平均線割れとなったら、天井をつけて下落に転じることを警戒し、必ず保有株を売却します。

 でも、楽観的に構えている個人投資家の方は、「おそらく一時的な下落ですぐ上昇に転じる」と考え、保有株を売却せず持ち続けるでしょう。

 その結果、実際に下げは一時的なものにとどまり、再び上昇に転じるので、一度売却して高く買い直すことによる利益の減少を回避することができます。

 ですから、楽観的が正しいのか、悲観的が正しいのかは、その時々のマーケット環境により異なってくるというのが実情です。

 株価上昇が長期的に続くのであれば、悲観的に考える個人投資家のパフォーマンスは、楽観的な個人投資家より劣ることになるでしょう。

 でも、株価が想定外に大きく下落するような状況になれば、悲観的な個人投資家は小さな損失で切り抜けられる一方、楽観的な個人投資家は大きな損失や塩漬け株に悩まされることになります。

 塩漬け株覚悟で株価の長期上昇を信じて楽観的な気持ちで向かうのか、それとも想定外の下落が到来しても生き残れるように、株価上昇時の利益を多少犠牲にしてでも悲観的な気持ちで臨むのか、これはご自身で選択すればよいと思います。

 ただ、筆者は上昇相場での利益を多少削ってでも、下落相場で大きな損をしたり塩漬け株をつくってしまうことを絶対に避けたいので、株式投資に対しては悲観的な態度でこれからも臨むつもりです。

 今回の下落で塩漬け株をたくさんつくってしまい、「もう塩漬け株はこりごりだ」と強く感じている方は、今後は筆者のように悲観的に臨んでみてはいかがでしょうか。精神的に安定した状態で下落相場と向き合うことができるはずです。

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