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月曜日の悪夢パニック相場でファンド勢が右往左往
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

月曜日の悪夢パニック相場でファンド勢が右往左往

2013/2/28
先週末に新聞各紙が「日銀総裁に黒田東彦アジア開銀総裁、副総裁に岩田規久男学習院大学教授・中曽宏日銀理事」の人事案を報道したことから、週明けの相場はマド空けの円売りで始まった。
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先週末に新聞各紙が「日銀総裁に黒田東彦アジア開銀総裁、副総裁に岩田規久男学習院大学教授・中曽宏日銀理事」の人事案を報道したことから、週明けの相場はマド空けの円売りで始まった。

リフレ派の岩田規久男教授が副総裁候補にあがったことでヘッジファンドの一部が円売りに動き、25日早朝のオセアニア市場ではドル/円で94円77銭まで円安が進んだ。東京時間に入ると、日銀新人事は「中立的なバランス人事」との冷静な声も聞こえてきて、「マド埋めをするだろう」との見方から相場は円高方向に押し戻された。ここまではよくある動きである。

波乱はこの日のNY市場終盤に訪れた。市場参加者の多くが「G20後の円相場は調整相場となっているが、大局の円安は動かない」と円安神話に傾いているなか、一部投機筋による「ポジションの偏りを狙った円買い仕掛け」が出て、ストップ・ロスを巻き込んだ円崩落が起こった。

急落相場の理由は「イタリア・ショック」と言われているが、材料はなんでもよかったのだろう。昨年は平均6%のパフォーマンスに終ったヘッジファンド業界は、起死回生の円売り相場に群がっているファンドが多い。円売りポジションを大量に抱えすぎていたファンド勢は不意を突かれ、手仕舞いや損切りを余儀なくされたという。

ユーロ/円(1時間足) 25日の相場で当日高値から7円も下落

上段:26時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13時間移動平均線(赤)・21時間移動平均線(青)・21時間ボリンジャーバンド1σ(茶) 9時間RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

シカゴIMMの円のポジション 65,891枚の円売り越し(2月19日時点)

円安が止ると、ポジションの偏りを狙われる


(出所:石原順)

25日の相場はドル/円で高値94円77銭から安値90円85銭まで動き、ユーロ/円では高値125円37銭から安値118円72銭まで動いた。26日の相場もドル/円は92円74銭が高値となり91円11銭まで押し戻された。この大変動でパニックに陥ったのが、通貨オプション市場の参加者である。通貨オプション市場では、最近の円相場が調整相場となっているなかで、「ボラティリティの売り」や「レンジ内の逆張りポジション」を組んでいた参加者が多かった。そもそもオプション市場は逆張りの投資家がほとんどである。

25日の円相場が想定以上に動いたことにより、オプション市場は「ボラティリティ・パニック」に見舞われ、オプションの売り方の買い戻し(損切り)が相次いだようだ。2月28日現在のオプション・ボラティリティは15.68%と高水準に張り付いている。2月27日の通貨オプション市場では円を買う権利(円コール)が円を売る権利(円プット)の値段より高くなり、「円コールオーバー」となった。簡単に言うと、円買い需要が発生しているというである。

通貨オプション市場ではドル/円の価格が想定以上に動いたことで、ボラティリティ・パニックが起こった。過去の相場ではオプション・ボラティリティの上昇がその後の円高局面につながっていることが多い。レバレッジの調整等、資産管理を怠らないようにしたい。

ドル/円(日足)とオプション・ボラティリティ(赤)

ボラティリティ・パニックという乱高下相場に…


(出所:石原順)

現在、円安があまり進まないのは、まだ「月曜・火曜相場の恐怖」が癒えてないからである。円売りポジションの含み損や評価益の減少が投機筋の「想定以上」に膨らんでいることで、様子見気分が強くなっている。

もっとも、現時点の円相場の多くの通貨ペアは調整相場の範疇にあり、ポンド/円を除くと円高トレンドが発生しているわけではない。25日月曜日のスロップロス・ハンティング相場(損切りを狙った円買い仕掛け相場)も、損切りポイントと言われる「14日指数平滑移動平均の-2ATR水準」に到達した。したがって、短期筋の損切りは終っているという話だ。

ドル/円(日足)

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:14日ATRバンド 14日EMA(緑)2ATR(青)・3ATR(赤) 9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:14日ATRバンド 14日EMA(緑)2ATR(青)・3ATR(赤) 9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

ポンド/円(日足)

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:14日ATRバンド 14日EMA(緑)2ATR(青)・3ATR(赤) 9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:14日ATRバンド 14日EMA(緑)2ATR(青)・3ATR(赤) 9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

3月相場のリスク要因として、

  • 英国債の格下げ・英国のEU離脱観測(15年先の話?)
  • 英国の量的緩和観測でヘッジファンドが円売りからポンド売りに照準
  • イタリアの政局不安
  • フランス国債の格下げ観測
  • 米国の「財政の崖」問題
  • 日本企業の3月決算
  • G20で「口先介入」(期待だけの)相場は終わり
  • 新日銀メンバー初会合4月3日・4日までの空白(3月20日以降の臨時会合はあるのか?)

などが浮上している。

これらは今に始まったネタではなく、前々から言われていたことの蒸し返しのものが多い。それぞれの材料を良いようにも悪いようにも解釈して、上げ下げを繰り返すのだろう。

1月末から継続的にドル/円のアナログチャート(1995年相場とのパターン分析)を取り上げているが、ここまではパターン通りの相場である。1995年パターンを擬えると、ここから相場は調整局面を経てもう一回大きく跳ねることになる。2月25日(月曜日)に付けた今年のドル/円の高値94円77銭はオセアニア市場での高値である。ドル/円の高値・安値はマザーマーケットである東京市場で付ける習性があり、いずれ東京市場で94円77銭を上回る高値を示現すると思われる。

ドル/円(日足)のアナログチャート 2013年相場は1995年相場との類似性がみられる

パターン的にはしばらく調整相場に
2012年9月からの上昇相場と95年4月からの上昇相場の比較(95年は4/18、2012年は9/13が起点・横軸は起点日からの経過日数)


(出所:石原順)

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