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日本のみの特殊要因で来年90円までの超円高修正も視野に
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

日本のみの特殊要因で来年90円までの超円高修正も視野に

2012/12/20
日本は世界の歴史の中でも類を見ない14年連続のデフレを続けている。2008年9月のリーマン・ショック以降、米国も欧州も日本を反面教師としたデフレ回避に動いたが、日銀はなにもアクションを取らなかった。
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日本は世界の歴史の中でも類を見ない14年連続のデフレを続けている。2008年9月のリーマン・ショック以降、米国も欧州も日本を反面教師としたデフレ回避(中央銀行が大規模にバランスシートを拡大)に動いたが、日銀はなにもアクションを取らなかった。

デフレとは貨幣的な現象である。これを解決するのは中央銀行の仕事である。極論を言えば、中央銀行がお金を刷ればデフレは解決するのである。

安倍自民党総裁が主張している「大胆な金融緩和によるデフレ不況および円高不況からの脱却と大型公共事業による景気サポート」という経済政策はごく普通で当たり前の政策である。これは世界の常識であるが、日本のメディアや学者の多く(既得権を持っている人はデフレが大好き)からは未だに「トンドモ理論」的な扱いを受けている。

しかし、14年に及ぶ慢性的なデフレで日本の不景気が極まりにっちもさっちもいかなくなったことで、日本人の間では“禁じ手”となっている「アベノミクス」は民意を得た。今、デフレなのにインフレを心配してどうする?ということだろう。日本は結果が分かっていても、実際に失敗して(高い授業料と無駄な時間を浪費する)その結果を見ないと、途中で方針転換出来ない国である。

日経平均株価(日足) 1987年~2012年 デフレ不況は極まったか? 11月14日から「安倍氏に期待」相場が続いている


(出所:石原順)

2000年8月の「ゼロ金利解除」、2006年3月の「量的緩和」解除、2008年9月のリーマン・ショック後の無策という日銀の失敗を見てきて、安倍氏は日銀不信と多くの教訓を得たのではないか。日銀の政策については、もう答えが出ている。今、世界でデフレなのは日本だけだ。

本日の金融政策決定会合で日銀は資産買い入れ基金を10兆円増額する追加緩和策を全員一致で決定した。小出しの緩和でもアリバイを作っておかないと、「日銀法改正」議論が騒がしくなるのでやりましたという感じだ。だが、衆議院選挙で日銀の金融政策や日銀のあり方(日銀法改正)が争点になり自民党が大勝した以上、日銀の裁量やデフレ政策を続行する余地はもうない。

「市場の一部では、新政権の正式発足後の来年1月に日銀が臨時会合を開くのではないかとの思惑が出ている」(ロイター)らしいが、外堀を埋められた日銀は物価目標を2%に引き上げる方向で動くだろう。これは来年の「お年玉」である。外人トレーダーからは、「君の給料は上がらなくても、日本株は上がるだろう。だから株を買え!」との冗談も聞かれる。

日経平均株価(日足) 2012年1月~2012年12月


(出所:石原順)

循環的にも面白いことになってきた。「財政の崖」をはじめ世界が緊縮財政に向っている中で、安倍政権は参議院選がある7月までは経済対策を優先し公共事業の大判振舞いをやりそうだからだ。日本のみの財政拡大は円安要因である。

「日銀資産、膨張進む 7年ぶり最高更新156兆円」(日経新聞12月5日)という記事があったが、日銀資産は膨張していない。これは下の中央銀行の資産の変化を見れば分かる。「2%のインフレーターゲット政策」が始まってやっと、日銀の総資産はこれから膨張していくのである。これも円安要因だ。

FRB(左)・ECB(中央)・日銀(右)の総資産 2005年~2012年


(出所:石原順)

経済学者の間では円は少なくとも15%割高だと言われているが、円安ではなく超円高の修正があるだろう。ドル/円レートで言うと90円レベルである。シカゴIMMの円売りポジションが積み上がっているが、利食いを入れながらもヘッジファンドの最終ターゲットは90円というのがもっぱらの噂である。

シカゴIMM 円のポジション(12月11日時点)


(出所:石原順)

さて、相場の実践論に移ろう。

ドル/円(日足)は26日標準偏差ボラティリティがピークアウトしているが、14日ADXは上昇中とややちぐはぐなトレンドの示唆となっている。トレンド相場継続か、調整相場入りかの分岐点にあるといってよいだろう。これは、豪ドル/円もユーロ/円も同じである。

しかし、円相場はいずれもまだ21日ボリンジャーバンド+1シグマの上で推移している。従って、筆者の直近の円売りポジションは基本的に円売りで放置されたままである。一部、利食ったり、ポジションの入れ替え等は行なっているが、10月半ばと11月初めに建てた「コアの円売りポジション(種玉)」は維持したままだ。日足ベースの手仕舞いはテクニカル・ベースで対処したい。クロス円については長期ポジションも持っており、「10月末買い4月末売り」という「株の循環」に乗っていきたいと考えている。

ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・13日標準偏差ボラティリティ(茶)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(週足)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(日足) 支持・抵抗線


(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

豪ドル/円(月足) 10月末買いの4月売り 赤丸は失敗の年


(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

難解なのはユーロ/ドル相場である。売るのも買うのも不気味だ。筆者のところに「なぜ、ユーロは買われているのか? ユーロは危ないとみんな言っているではないか?」と電話をかけてくる人が非常に多い。電話してくるのは大概、ユーロを売っている人達だ。筆者は「あなたが買っている(買い戻している)からではないのですか?」と冗談を言っているが、これは真実である。それは、下のシカゴIMMのユーロポジションを見れば一目瞭然だ。

多くのエコノミストが「ユーロ危機」を煽っているが、ファンダメンタルズ的な指摘としては概ね正しい。しかし、相場はその通りに動かないのである。FX初心者の人は特に気をつけたほうがよい。相場は「価格そのものの分析」をしない限り、勝つことは困難なのである。

シカゴIMM ユーロのポジション(12月11日時点)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足) ショートカバー(ユーロ買い戻し)相場でレンジブレイク

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

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