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8月株高・債券安の正体/レンジ相場で稼ぐ人
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

8月株高・債券安の正体/レンジ相場で稼ぐ人

2012/8/8
「今のマーケットは何を見ているの?」「オリンピックでしょう」という冗談が出るような地合だが、「何を理由に買われているのか、売られているのかよくわからない」「理屈に合わない動きだ」などと
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「今のマーケットは何を見ているの?」「オリンピックでしょう」という冗談が出るような地合だが、「何を理由に買われているのか、売られているのかよくわからない」「理屈に合わない動きだ」などといった、「今のマーケットの動きがわからない」という声が多い。

NYダウ(日足) 8月にしては好調な滑り出し

200日移動平均線(赤)・オプションボラティリティ(緑)


(出所:石原順)

筆者もよくわからないが、某海外ブローカーの話ではこれまで積み上がった「債券買い+株売り」取引の「手仕舞い(クローズ)」が出ているという。欧州危機と世界的不景気を背景に「空前の債券バブル相場」が継続しているが、債券の運用者は8月相場に大きな警戒感を持っている。

債券の運用者にとって、「3月」・「6月」・「8月」の相場は厄介である。2012年5月27日号の『日経ヴェリタス』に『債券は「6月に売り抜けろ」』という記事があったが、歴史的に見ると債券市場の標準偏差が振れる(変動率が拡大する)のは「3月」と「8月」であることが明らかになっている。

ドイツ・米国・日本の10年国債の推移 2012年1月~8月

3月・6月・8月は厄介な相場? 3月相場(黄色のゾーン)・6月相場(緑色のゾーン)・8月相場(水色のゾーン)


(出所:石原順)

「なんでもする」というドラギECBが9月にバズーカ砲を打つ期待は依然強い。一方、米国は雇用統計でNFPが改善したが、失業率は4月の8.1%から8.3%へと上昇傾向にあり、職安にいかなくなった人も含む広義の失業率である「U6」も15%に上昇している。このため、9月FOMCでのQE3期待も消えていない。

債券の8月のジンクス、行き過ぎた金利低下(過剰なリスク回避)の修正、9月に本番を迎える欧米(ECB・FRB)の政策などへの警戒から、ファンドが「債券買い+株売り」ポジションの一部を外している。これが8月の株高・債券安の正体であろう。

為替市場は「リスクのオン・オフ」の指標となっているユーロ/ドル相場が、既報の通り「調整相場」となっているため、なんとも方向感のつかみにくい展開となっている。

ユーロ/ドル(日足) トレンド指標は低下中、方向感のつかみにくい相場

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日移動平均線(赤)・21日移動平均線(青)・21日ボリンジャーバンド1σ(茶) 9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

ユーロ/円(日足) トレンド指標は低下中、方向感のつかみにくい相場

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日移動平均線(赤)・21日移動平均線(青)・21日ボリンジャーバンド1σ(茶) 9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

トレンド・フォロー(順張り)派の投資家にとってはつまらない相場であるが、今回は筆者の友人で「レンジ・トレードしか行なわない」という運用者のことを取り上げておこう。彼が最近トレードしていたのは、ポンド/ドルやポンド/円、カナダ/円などの「トレンドのない通貨」である。

このレンジ・トレードが好きな運用者が見ている指標は標準偏差ボラティリティである。比較的大きなトレンド相場が展開されて、標準偏差ボラティリティがピークアウトした後(下のチャートの黄色の部分)が、彼が稼ぐ時間帯である。最大の収益源は「標準偏差ボラティリティ低下期間のオプションの売り」(相場が一定レンジに入っていれば儲かるポジションを組む)であるが、レンジ相場での逆張りも活発に行なっているという。

あまり詳しくは述べられないが、彼が逆張りのポジションを取るのは、標準偏差ボラティリティ低下期間中の21日ボリンジャーバンドの1シグマ、あるいは21日移動平均乖離(エンベロープ)1%の「外側」で、手仕舞いポイントは21日移動平均線付近である。「ドル/カナダは現在トレンドが出ているのではないのか?」と聞くと、「ドル/カナダはストキャスティクスのシグナルが変わった時に(レンジ・トレードを)やめた」とのことだ。

筆者は彼の売買手法や銘柄選択の方法をよくは知らないが、世の中にはレンジ相場だけで儲けている運用者もいるのである。「相場が動かない」ことに賭ける人もいるのだ。相場は十人十色、だから面白い。

ポンド/円(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ
中段:21日移動平均線(赤)・21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)・21日移動平均線1%乖離(紫)
下段:ストキャスティクス


(出所:石原順)

ポンド/ドル(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ
中段:21日移動平均線(赤)・21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)・21日移動平均線1%乖離(紫)
下段:ストキャスティクス


(出所:石原順)

カナダ/円(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ
中段:21日移動平均線(赤)・21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)・21日移動平均線1%乖離(紫)
下段:ストキャスティクス


(出所:石原順)

カナダ/ドル(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ
中段:21日移動平均線(赤)・21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)・21日移動平均線1%乖離(紫)
下段:ストキャスティクス


(出所:石原順)

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