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クリスマス休暇とドルキャリー取引の巻き戻し
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

クリスマス休暇とドルキャリー取引の巻き戻し

2009/12/11
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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12月4日の米雇用統計の発表(内容についてはみな疑心暗鬼だが…)を受けたNY時間の外為市場では、米国の早期利上げ観測からドルが全面高となり、ドル/円相場は1999年以降で最大の上昇率を記録した。この日のドルの上昇は米雇用統計という外部要因がきっかけとなっただけで、ドル売られすぎ局面からの自立反発(ドルのショートカバー)という市場の内部要因による影響が大きい。クリスマス休暇を控えた先週は、ドルの買い戻しが出やすい局面であったということだ。

ドル売られすぎ局面という相場認識については、「野も山もみな一面に円高予想だが…」で取り上げているので、そちらを参照していただきたい。

ドル/円(月足)60カ月移動平均線(赤)と-20%乖離ライン(青)


(出所:石原順)

現在、ドルのリバウンドが期待できる局面にあるが、このまま一直線にドル高となるほど相場は単純ではない。日足のチャートをみてみると、相場が200日移動平均線に接近・タッチあるいはブレイクしたあとはいったん反発するものの、もう一度安値を試しに来ることが多い。ここで前回安値を維持し一回目の反発の高値を抜いてくると、とりあえずドルの底打ちが確認できる。

ドル/円(日足)200日移動平均線(赤)と10%乖離ライン(緑)


(出所:石原順)

ドル/円相場は11月27日安値84円76銭から12月4日高値90円77銭まで約6円の上昇をみたが、12月9日には87円35銭まで下落した。12月7日に“ヘリコプター”ベン・バーナンキFRB議長が「米経済は恐ろしい向かい風に直面している。雇用市場は脆弱だ」(では雇用統計のデータは間違っているのでしょうか…?)と発言したことで、早期利上げ期待が一気に冷え込んだからだ。昨今のドル/円相場は米長期金利とほぼ連動している。当局者の発言やFOMCのコメントに相場は過剰反応(米10年国債と比べると、現在のドル/円は売られすぎ)するので、今後も要人発言日程には注意が必要だ。

しかし、先週のレポートにも書いたように、筆者は【相場の転換点を当てる中期のスウィング・トレード】という手法においては、現在のドル/円相場の急落局面はすべてドル買いで対処している(ずっと持っているわけではなく、利食い・買い直しなど細かなポジション調整を行っている)。

米10年国債金利とドル/円相場(日足) ドル/円は過剰反応?


(出所:石原順)

さて、ドバイ危機以降、カントリーリスク(相手国の事情により債務の返済や投融資の回収が不可能となるようなリスク)がマーケットテーマに浮上し、ギリシアやスペインに危機が波及してきている。現在、PIGS(ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシア・スペイン)やロシア・英国が財政赤字から投機筋の標的にされている。毎日、この類のニュースで一喜一憂の相場が続いているが、ドバイワールドの債務返済期限である12月14日あたりに一波乱あってもおかしくない。12月15日以降はクリスマス休暇で流動性が極端に落ちるので、イベントリスクには注意したい。対処としてはストップ・ロス注文を置いておくしかないだろう。

シカゴ市場ではドルキャリー取引の巻き戻しが話題となっている。クリスマス休暇を前に、ドルキャリー取引の手仕舞いを行っているファンドが多いという。当然、ドルキャリー取引の運用先となっていた原油・ゴールド・豪ドルなどの市場にもその波及効果が出ている。原油市場ではドバイ危機を受けて、アブダビの原油増産など、“風が吹けば桶屋がもうかる”式の噂が蔓延している。大きなトレンドとなるかどうかはわからないが、原油価格の下落が進めば中東やロシアの財政不安に発展するので注意したい。

原油(日足) ドバイ危機を受けて急落・33日移動平均線を割り込み投機筋の標的に


(出所:ストックチャートドットコム)

豪連邦統計局が12月10日に発表した11月の豪雇用統計は、3カ月連続で就業者数が増加し、5.7%に低下した。来年2月の利上げが噂されているが、豪ドルも現在、ドルキャリー取引の巻き戻しの対象となっており動きが鈍い。

豪ドル/円(左)と豪ドル/ドル(右)の日足

上段:14日ADX(方向性指数) 下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

一部の投機筋は不動産バブルに躍った英国(ポンド)やスペイン(ユーロ)の売り崩しを画策しているようだが、ポンドを手がける投機筋は短期売買中心の連中が多く、日中の相場は乱高下することが多い。ポンド相場は柔軟かつ機敏にやらないと大きな損がでるので注意したい。

ポンド/ドル/円(左)とポンド/円(右)の日足

上段:14日ADX(方向性指数) 下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

ドバイ危機に始まったカントリーリスクというマーケットテーマが大きくなるのか、危機が先送りされるのか、筆者はわからないが、危機の波及・拡大を予測するファンドのなかには景気の落ち込みの比較的すくないスイス(重税の英国からヘッジファンドが移転)やニュージーランド(世界で唯一核爆弾の届かない国=富裕層に人気)への投資を拡大させているところもある。

スイス/円(左)とニュージーランド/円(右)の日足

上段:14日ADX(方向性指数) 下段:移動平均リボン


(出所:石原順)

筆者はニュージーランドもスイスもよくわからないので、現在はドルインデックスのもう一段の修正高をにらんだドル/円の押し目買い+吹き値売りを続行中である。繰り返すが、12月15日以降はクリスマス休暇である。流動性が落ちて相場が投機的になるので、ストップ・ロス注文を忘れずに!

ドルインデックス(日足)


(出所:ストックチャートドットコム)

ドル/円(日足)13-21日移動平均バンドとフィボナッチのリトレースメント

13-21日移動平均バンドを終値でこらえており、目先はドルが戻すか…?


(出所:石原順)

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