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野も山もみな一面に円高予想だが…
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

野も山もみな一面に円高予想だが…

2009/12/4
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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久しぶりに本屋をのぞいてみたら、いわゆる「恐慌本」と言われる本が何冊も平積みになっていた。ちょっと立ち読みしてみたのだが、大胆で桁外れの円高予想のオンパレードであった。TVなどのマスメディアの報道も「ドバイショックで円高」と大騒ぎである。こういった大騒ぎの状況になると、往々にして相場が逆に動くことが多いので気をつけたい。ここにきてドル安の構造を皆が説明しだしているが、そのロジックを聞いていると、ドルが永遠に一方通行的に下げるような気がしてくる。しかし、ドル/円相場はゼロにはならない。相場は所詮循環である。

筆者も大局はドル安を見ているが、ドル/円相場は11月27日の安値84円80銭から12月3日には88円48銭まで上昇している。12月2日のネット勉強会で述べたように、ドル/円相場は安値から2円50銭(今回の場合は87円30銭超え)以上反転したら、目先の円高は概ね終了である。(11月27日の20日ATR=92銭×2=1円84銭反転した86円64銭で短期の円買い投機筋も相場から降りている)今後、再度85円を相場が割り込んでくると(筆者は84円80銭を相場の大底とは思っていない)、82円や79円75銭をターゲットとした円高が再燃するかもしれないが、現在は円高がとりあえず終了した格好となっている。

今回は、筆者が「円高持続の限界」について注目しているポイントを上げておく。

ドル/円相場は11月27日安値の84円80銭で200日移動平均線のマイナス10%乖離のバンドにタッチした。この現象が起きると、間もなく相場が大きく反転する可能性が高くなる。

ドル/円(日足)200日移動平均線(赤)と±10%乖離バンド


(出所:石原順)

また、11月27日のドル/円の安値は60カ月移動平均線のマイナス20%乖離のラインに到達している。リーマンショック後の円高もマイナス20%乖離で止まっており(その後、いったんマイナス10%乖離のラインまで反発)、目先は円を買いたくないというのが筆者の現在の相場認識である。

ドル/円(月足) 60ヶ月移動平均乖離バンド
10%乖離(緑)・20%乖離(青)・30%乖離(赤)


(出所:石原順)

最後にもう一つ、年後半(10月~12月)にドル安パターンが出現したときは、タイミングを計りながらドル買いを行うというのが、筆者の年末年始の恒例行事となっている。筆者のこれまでの相場経験では、10月~12月期のドル安トレンドは、年が明けると反転し、2月頃までドル高になることが多い。2008年の相場ではこの戦略は失敗したが、2009年の相場では大きな収益を上げることが出来た。これは、順張り戦法の多い筆者の取引手法の中で数少ない逆張り手法である。こういったパターン分析に基づく中期投資の売買手法(相場の転換点を当てるゲーム)は失敗するとリスクが大きいので、レバレッジや資産管理上のポジション調整をまめに行う必要がある。11月27日以降、現在まで相場の押し目でドルを拾っているが、相場が85円を割り込めばいったん撤退である。いずれにせよ、今後、2010年2月まではドルの急落があれば、相場観が変わるまで(5回くらいは損切りをするかもしれない…)筆者は何度でもドル買いをトライしていくことになる。

ドル/円(月足) 10~12月期のドル安相場(黄枠)と1月相場(赤枠)

(1991年~2009年)


(出所:石原順)

ドル/円(月足) 10~12月期のドル安相場(黄枠)と1月相場(赤枠)

(2001年~2009年)


(出所:石原順)

上に述べてきたように、ドル/円相場の円高の循環は目先の底打ちの条件を満たしている。だが、ドル/円相場は現在5年サイクルの最終局面にあり、最もドルが弱く円高の波動がエクステンション(延長)しやすい位相にある。頑なに相場を決めつけず、朝令暮改の柔軟な姿勢で臨みたい。相場は一にストップロス、二にストップロスである。

ドル/円(月足) ドルの5年サイクル(赤)と2年サイクル(青)


(出所:石原順)

さて、本日は米雇用統計の発表がある。今回の米雇用統計は好結果見通し(非農業部門雇用者数は前月比12.3万人減・失業率10.2%の予想)が多いようだ。予想が楽観的なので、外れた時の反動がこわい。一発勝負は避けて、結果をみてから動くのがよいだろう。米国の政策金利は当面動かないが、米雇用統計で好結果が出れば、10年国債金利が上がることになろう。昨今のドル/円相場は米10年国債金利と連動して動くので、米10年国債金利の動きをリアルタイムでチェックしながら取引するのがよい。

米FF金利誘導目標と失業率 当面、利上げはない


(出所:石原順)

米長期金利とドル/円 米長期金利とドル/円の連動性は高い


(出所:石原順)

筆者は、雇用統計がどうあれ、短期取引ではいつもの「21時間ボリンジャーバンド1σブレイクアウト手法」のルールにしたがって動くだけである。もちろん、結果はどうなるかわからない。皆さん、損切り注文をお忘れなく!

豪ドル/円(1時間足)

21時間ボリンジャーバンド1σブレイクアウトと14時間ADX
11月26日~12月3日に筆者が実際にポジションを取った局面(水色)


(出所:石原順)

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