次に企業業績の動向をチェック
では、現状、企業業績はどうなっているのでしょうか? 企業業績の動向についてみていきましょう。
(グラフ2)日経平均株価と来期・再来期調整予想EPS4週前比増減率の推移
グラフ2は、日経平均と、来期・再来期を調整した予想EPS4週前比増減率の推移を示したものです。
注目したいのは予想EPS4週前比増減率の青線で、プラスの状態にあるか、マイナスの状態にあるかです。プラスの状態になっているということは、企業業績は伸びており、プラスが続いている限りは、業績の悪化に伴う日経平均の下落は考えにくいということになります。
10-12月の四半期決算が先週から続々と発表されていますが、全体として上方修正のほうが多く、業績が悪化する気配はまだ感じられない状況にあります。現状、買われすぎの部分はなく、業績も伸びているということであれば、日経平均の大幅下落の可能性は小さいということになります。
では、今後、業績が悪化してくることが考えられるのでしょうか?
そこで、今、業績が好調な日経平均に対する寄与度の大きい銘柄についてみていきたいと思います。寄与度の大きい15銘柄は、次の表のとおりとなっています。
(表1)日経平均株価に対する寄与度の大きい上位15銘柄
このなかで、青で示した東京エレクトロンやアドバンテスト、信越化学工業などの半導体関連、ロボットのファナック、電子部品のTDK、京セラ、総合エレクトロニクスのソニーグループなど、業種区分で見ると電気機器(信越化学工業は業種が化学となっていますが、半導体関連銘柄)の銘柄が業績好調で、これらの銘柄が今後の鍵を握ってくるとみています。
これらの銘柄は、過去においては景気動向によって、利益が大きく上下にブレる傾向にあり、今後、日経平均が大きく下落するとしたら、これらの業績が大きく悪化してくるときと考えています。
今回の10-12月の四半期決算においては、引き続き好調な銘柄が多く、まだ悪化のきざしは感じられない状況にあります。
そのきざしが出てくるとしたら、次の1-3月の決算が発表される4月下旬以降と考えられますが、逆にいうと、悪化せずに伸び続けたときには、日経平均の大幅下落は考えにくく、逆に上昇のほうがあり得るということになります。
以上をまとめますと、今の日経平均は業績から説明のつく水準で、ITネットバブル崩壊やリーマンショックのような買われすぎによる下落の余地は小さく、大幅に下落するとしたら、日経平均の寄与度の高い電気機器を中心とした銘柄の大幅な業績悪化が必要条件で、業績悪化のきざしが出てくるまでは大幅下落は考えにくいとみています。
このため、アナリスト見通しにおいて、これらの銘柄の上方修正が続くのか、下方修正が出て悪化のきざしがあらわれてくるのかを注視していく必要があると考えています。
投資はあくまでも自己責任で。