NYダウは過去32年日経平均を上回るパフォーマンスを実現

 最近、米国株の強さに対し日本株の上値の重さが目立っていますが、NYダウ(ダウ工業株30種平均)が強く日経平均株価が弱いのは今に始まったことではありません。

 日経平均がバブル相場で最高値(3万8,915円)をつけた1989年12月末から比較すると、日米の株価パフォーマンスには以下のように、大きな差がついています。

日経平均・NYダウの動き比較:1989年末~2022年1月(18日)

出所:1989年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 上のチャートを見ると、NYダウがバブルのように見えますが、そうではありません。バブル相場では、利益を無視して夢だけで株価が上昇しますが、NYダウは利益を無視して上昇してきたわけではありません。1株当たり利益の増加を反映して、上昇したのです。

 株価の割安度をはかる代表的な指標にPER(株価収益率)があります。1株当たり利益の何倍まで株価が買われているかを示します。

 世界各国の主要株価指数は、だいたいPER10倍~20倍の範囲で評価されてきました。米国株のPERは、だいたい13~22倍の範囲で推移してきました。現在その上限に近いところで評価されていますが、割高感はありません。

 ただ、よく見ると、NYダウも32年間継続して上昇相場だったわけではありません。

 株価が大きく上昇したのは、1990~2000年までの10年と、2010~2020年までの10年です。その間の10年(2000~2010年)はほぼ横ばいで上昇していません。2回の暴落(ITバブル崩壊とリーマンショック)に見舞われたことが影響しています。

 しかし、2010年以降、米国株は利益も株価も継続的に上昇してきました。シェール・オイル&ガス革命、世界のITインフラ支配、大型減税などによって、米国企業は利益を拡大させ、それに伴って株価が上昇してきました。