需給逼迫を招いたのはOPECプラスの減産

 2020年に入り、協調減産を終了したOPECプラスだが、新型コロナウイルスのパンデミックに伴う需要減少により供給過剰に陥(おちい)ったことで、同年5月以降、OPECと非OPEC産油国は再び協調し減産を開始した。なお、OPEC加盟国13カ国のうち協調減産に参加しているのはサウジアラビア王国を含む10カ国(OPEC10)で、イラン、リビア、ベネズエラは除外されている。非OPEC産油国では、ロシア、アゼルバイジャン、カザフスタン、オマーンなどが協調減産に参加している。

 OPECプラスは段階的に減産縮小(以下、増産)を進めており、市場への原油供給量は徐々に増えてはいるものの、依然としてコロナ禍以前に比べると供給量は絞られている。消費量の回復ペースよりも増産ペースが遅いため、需給はタイトバランスに転じた。これに対して米国などの消費国はOPECプラスに対して再三増産を要請しているが、増産余力が乏しい、市場は均衡しているといったことなどを理由に、OPECプラスは緩やかな増産にとどめている。

 年明け1月4日に開催された閣僚級会合においても、オミクロン株の感染者が増えていることへの懸念はあるが市場は均衡しているとし、従来の方針を維持することで合意、2月以降も日量40万バレルの増産となる。市場への供給量は増えることになるが、それでも目標数値からはしばしの間、コロナ禍前の2019年のOPEC産油量平均を下回り続ける公算が大きい。そのためタイト感が意識されやすいだろう。

OPECなどの原油生産量(100万バレル/日)

(EIAのデータを基にクリークス作成)