テイラールールと米国の政策金利

 テイラールールは、米国の経済学者ジョン・ブライアン・テイラーが1993年に提唱した、中央銀行が誘導する政策金利の適正値をマクロ経済の指標により定める関係式である。

 米国の実際の政策金利との一定の整合性もあり、各国の金融政策決定過程で参考にする代表的ルール(よりどころ)の一つとされている。現在の米国のCPI(消費者物価指数)を使ってテイラールールに当てはめると、フェデラルファンド金利は9.15%が妥当な数値になるらしい。

 いずれにせよ、米国のインフレの急上昇(一時的ではない)と失業の急落(完全雇用)を考えると、米国の政策金利は低すぎると言えるだろう。

 トルコのエルドアン大統領によるインフレ下の利下げ政策が市場から非難されているが、インフレ率以下の人為的な金利を作って「金融抑圧政策」をやっているという意味では、日本も米国もトルコと同じである。

 問題は、政府や中央銀行が金利変動のメカニズムを破壊するような社会主義的な操作をやっていることだ。やがて通貨制度を巻き込んだ大惨事になりかねない。

「テイラールール」でフェデラルファンド金利を求めると…

出所:ゼロヘッジ

エド・ヤルディーニの「戦慄のチャート」 米国の長期金利 VS 消費者物価指数

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート(パンローリング)