日本市場の業績見通しは持ち直している

 12月初めまでの株価下落で、TOPIX(東証株価指数)ベースの予想PER(株価収益率)は一時14倍割れまで低下しました。このPERを試算するための予想EPS(1株当たり利益)は、TOPIXベースの12カ月先予想EPS(市場予想平均)です。

 これまで発表された2022年度中間期決算やガイダンス(業績見通し)を総括すると、業種別や企業別に濃淡や格差はあっても「業績見通しは総じては良好」と言えます。

 図表3は、2018年以降におけるTOPIXの12カ月先予想EPS(同上)の推移を示したものです。予想EPSは前年同期の予想EPSより約7割増加する持ち直しを強めており、過去最高益を更新しつつあるトレンドがわかります。

 不安定だった相場が、「株価は業績」との格言に沿って戻りを試す動きに転じても不思議ではないファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と言えるでしょう。

<図表3:日本市場の業績見通しが持ち直しを鮮明に>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年12月8日)

 予想EPSの増加そのものは、(予想PERが変わらないとしても)株式の見直し買いにつながりやすいと考えられます。また、市場心理の改善(リスクプレミアムの低下)次第では、予想PERの持ち直しによる株価回復も想定できます。

 当面の材料としては、米国で14~15日に予定されているFOMCの結果を踏まえ、金融政策の正常化を巡る思惑が安定化し金融市場が落ち着きを取り戻し、「感染力は強いが重症化率は低い」との見方が浮上しているオミクロン型変異株を巡る脅威が薄らぐことが望まれます。

 こうした条件が整えば、日本市場の業績見通し改善は、2022年に向けて日本株の戻り余地を広げる要因となる可能性が高いと考えています。

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