総悲観を示した「騰落レシオ」から占う日本株の戻り余地 

 一部のテクニカル指標は、日本株が12月初めに「底値圏」を形成した可能性を示しました。図表2は、東証1部の「騰落レシオ」と日経平均の推移を示したものです。騰落レシオとは「25日間の値上り銘柄数の合計÷25日間の値下り銘柄数の合計」の比率で示され、120%が「買われ過ぎ」、70%が「売られ過ぎ」のメドとされる逆張り指標です。

 騰落レシオは12月2日に69.2%と70%を割り込み昨年4月以来最低まで低下しました。相場が総弱気(陰の極)を形成した可能性があります。参考までに、2011年以降の東証で騰落レシオが70%を割り込んだ日は101日(回)ありました。

 その当日から「50営業日の日経平均は平均して5.5%上昇した」との市場実績が検証できます。現水準の日経平均で換算すると3万円程度を視野に入れた戻りに相当します。中期的視点に立ち、「売られ過ぎからの反動(反発)」を想定するにあたり参考にしたい指標としてご紹介したいと思います。

<図表2:東証の騰落レシオは「売られ過ぎ」に低下>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年12月8日)

 図表2の過去の市場実績でみるとおり、騰落レシオが大幅下落したからといって、株価がすぐに急反発したわけではありません。ただ、市場心理が「過度の弱気」に陥った状況からの反動傾向はみてとれます。

 つまり、相場がいったん陰の極(市場心理が冷え込み下がりにくい状態)に達した場合の、相場反発へのサインあるいは前兆と言える事象とみなされてきました。12月2日に示現した「騰落レシオの70%割れ」は東証で過度の売りが一巡した状態を示しており、年末・年始に向けた相場回復の起点として注目したいと考えています。