今日の為替トレッキング

今日の一言

日々の収穫量で一喜一憂してはいけない、植えた種の量を気にすべきだ

Let’s Hear It for the Boy

 オミクロン変異株によって、関心がやや薄れている感がありますが、今週金曜日には11月の雇用統計が発表されます。BLS(米労働省労働統計局)が11月5日に発表した10月の雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が53.1万人増加し、失業率は0.2パーセントポイント低下して4.6%になりました。平均労働賃金は、前月比0.4%増、前年比4.9%増。

 新型コロナが登場する前の米経済はまさに絶好調で、雇用市場は50年ぶりの低失業率を謳歌していました。ところが、新型コロナの襲来によって、たった2カ月間で2,200万人もの職が奪われ、完全雇用の状態から戦後最悪の水準まで一気に悪化しました。

 しかしその後の反動も驚異的で、2020年5月と6月の2カ月間で瞬く間に雇用が30%以上も回復。このサイクルを景気循環と呼ぶなら、3月と4月は不況期で、5月と6月は好況期です。経済が歴史的に経験してきた景気循環とは、長ければ50年、短くても40カ月が周期なので、異次元のスピードといえます。

 米雇用市場は、2020年5月から2021年10月までの17カ月間で、非農業部門雇用者数は、合計で約1、820万人増加しました。新型コロナ発生前の2020年2月の状態に戻るまであと約420万人足りない。雇用者は、2021年1月から10月までの10カ月間で平均すると毎月54.7万人増加しているので、今後もこのペースを保つならば、2022年6月までには・元の状態に戻りFRBが目指す「最大雇用」に到達することができます。

 この時期に、ちょうど緩和縮小も完了する予定なので、来年の6月には、米利上げがかなり現実的になっているはずです。パウエルFRB議長は、最大雇用への道筋がはっきりすれば、利上げしてもよいとの考えなのですでに利上げは始まっているかもしれない。ただ、民主党のバックアップを受けるブレイナード副議長のスタンスは、完全雇用を達成してから利上げというスタンス。いずれにしても、この時には米利上げはいつ、ではなく何回という話題になっているでしょう。