ドル高は米成長率の高さの現れ?
筆者は莫大(ばくだい)な債務を抱える米ドルに対して長期的には弱気の姿勢を崩してはいないが、2021年に入り、昨年の反動相場とシーズナリー要因からドル高傾向の相場となっている。
ドルインデックス先物のシーズナリーチャート
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出所:エクイティクロック
G10各国の2021年の成長率見通しを見てみると、直近では米国、カナダの成長率見通しが昨年末に比べて引き上げられている。英国は下方修正ではあるものの、他国に比べて成長率見通しは高い。
G10各国の2021年成長率見通し(青:直近 水色:2020年末)
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ドルインデックスの動きは成長率見通しと相関関係がある。以下は、米国の成長率見通しとG9の見通しを比較したものを青い線でプロットしてあるが、この成長率レシオに比べて、ドルインデックスは明らかに出遅れており、今後、上昇していくことが想定される。
ドルインデックス(水色)と米国対G9各国の期待成長率
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グローバルPMIとの相関から見れば、米債利回りはここからさらに上昇していく傾向が読み取れる。
米10年債利回り(水色)とグローバルPMI(青)
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長期金利の急激な上昇については弊害も指摘されるが、相場的には2%程度の利回りを織り込むような形で、「米金利上昇=ドル高」という図式での動きが当面は想定される。
米10年国債金利(週足)
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一方で、米金利の上昇は、新興国や資源国通貨にはマイナス要因となる。また、ここにきて原油価格が不安定になり始めている。コモディティの「スーパー・サイクル」入りも指摘されているが、コモディティ通貨である豪ドル、NZドルのチャートを確認しておこう。
豪ドル/ドルは日足で売りシグナルが点灯中である。大きく振りながら下げており、しばらくは不安定な動きになりそうだ。
豪ドル/ドル(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
NZドル/ドルも日足で売りシグナルが点灯中だ。週足では売りシグナルは点灯していないが、調整相場の局面である。
NZドル/ドル(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター