ワクチン接種でニューヨークとロンドンが巻き返し
ドルが引き続き堅調で、ドル/円は110円台に上昇している。過去数年間、最もトレンドが発生しにくい通貨の代表であったドル/円のチャートは、日足で久々の大相場となっているが、週足でも4週間前から買いトレンドシグナルが点灯している。
ドル/円(日足)
ドルに対して相対的に健闘しているのがポンドである。昨年の10月9日に買いシグナルが点灯して以来、ボンド/円は爆上げしたが、3月24日にようやく売りトレンドに転換した。だが、それもつかの間、3月30日には買いシグナルが点灯している。他通貨の動きに比べるとポンドは底堅い。
ポンド/円(日足)
ブルームバーグの記事『世界の金融ハブ、ワクチン接種でNYとロンドン巻き返し-東京出遅れ』によると、世界でワクチン接種競争が起きており、既に接種を1回受けた住民の割合はロンドンが約30%、ニューヨークは約23%であるのに対し、一方、これまで感染者数が相対的に少なかった香港や東京は大きな後れを取っている。
世界の金融センターの中でも、新型コロナウイルスによる打撃が特に深刻だったのはロンドンとニューヨークであるが、ワクチン接種競争では他の都市に先行しているという。
同じ欧州通貨でもユーロは軟調だ。ユーロ/ドルの日足は売りトレンドが点灯中である。一方で、ユーロ/円の日足は売りトレンドとはなっていない。毎年、4月にトレンドが転換することが多いユーロ/ドルの動向が気になるところだ。
ユーロ/ドル(日足)
ユーロ/円(日足)
ワクチンを打ったか打っていないかは、資本とグローバル人材の自由な流れに依存する世界の金融センターでは特に重要な意味を持っている。人口の大部分にワクチンを接種することは、経済活動などの正常化に向けた切り札だとしているが、こうしたことが通貨高にも影響しているのであろうか? 現在、欧州で巻き起こっている「ワクチン・ナショナリズム」は、構造的な脱グローバリゼーションの傾向を示す兆候の一つとも言えるであろう。