あり得る予測3:日銀ETF買いのテーパリングショック!そのとき新興株は…無風w

 ここ数年(2020年も当然)、日本株の最大の買い手だったのは日本銀行(のETF買い)でした。前場にTOPIX(東証株価指数)が一定レート下落すると、後場に中央銀行によるETF買いが入るという特殊な日本株市場。そもそもの目的は物価上昇でしたが(ほぼ効果なしは実証済みですが)、引くに引けない状態のまま、年間の買い入れ枠だけ膨張(当面12兆円としていますが、原則は6兆円の“買い越し要因”)しています。

 そんな、黒田日銀総裁の就任からでいえば、8年近く続いている日銀ETF買いですが…コロナ禍で日経平均株価は29年ぶり高値を付けました。市場を歪めているとの批判も多いなか、いつ引くか? 引かないまでも、買入枠の縮小など出口に向けた議論は出てきてもおかしくありません。なんといっても日経平均が29年ぶり高値なんですから、ここで出口考えないでいつ考えるの? じゃないでしょうか?

 買入枠の縮小が議論されているというような報道とか、実際に縮小を決定するといった会合結果が出た場合…日経平均株価、TOPIXは短期的に相当なネガティブ反応を示すと思います。個別株でいえば、ETF買いを通じて、大きく株価が上がったとよく記事になっているアパレル会社の株など初期反応が強く出るでしょう(下方向で)。ただし、例えば買入枠を6兆円から3兆円に減らしたとすれば瞬間急落するでしょうが、しばらくすれば「でも3兆円も買うわけだし」ってな解釈が広がって、またリバウンドするでしょうが…。

 これ、大いにあり得る予測ですが、このとき新興株は? 日経平均が急落した場合は、さすがに短期的には連動してしまう可能性があります。ただし、理屈的には、影響ほぼゼロ! もしかしたら、資金避難先で新興株が買われる可能性もあると思います。

 その理屈を、簡単に紹介しておきます。影響ほぼゼロというのはこういうことです。今、日銀がETFを買うとき、TOPIX型のETFを7割、日経平均型のETFを3割くらいの配分で買っています。ただ、厳密にいえば、JPX日経400型のETFも1%程度含まれています。新興株は東証1部銘柄ではないわけで、TOPIXと日経平均の構成銘柄は当然ゼロ。ただ、JPX日経400に採用されている銘柄が「4銘柄」あります。

 マクドナルド、セリア、ワークマン、東映アニメの4銘柄が入っていますが、なんといっても、指数ウエイトが超低い(というか、ほぼ空気)。仮に年間6兆円買う枠のなかで、JPX日経400型のETFを600億円買ったとしましょう。それによって、年間どれくらいの買いインパクトが発生したかを計算すると…一番ウエイトの高いマクドナルドでも6,780万円の買いインパクト。1日の売買代金が30億円以上ありますので、全く影響無し。4社全部合わせても1.3億円で、新興株の受けてきた日銀ETF買い恩恵はこれが全て。テーパリングしても新興株には“無風”、これは頼もしい話だと思います。

(最後に)

 この“あり得る予測”から言えるのは、2021年の狙い目は新興株でも「ジャスダック」。マザーズに類似会社が多い銘柄でいえば、EC関連株とかネット系。あとは、ワクチン普及でバリュー株のリバーサルが起きるとすれば、ジャスダックには低PBR(株価純資産倍率)のバリュー株も多いですしね。

 ただし、マーケットは人間が作るもの。大好きだったマザーズのラストイヤー! マザーズ銘柄でラスト勝負! な人ばかりで、結局マザーズが人気でした…みたいな展開のほうが現実的かもですが(笑)今年も何度となく思いましたが、株って難しいですね。