バラマキ政策を続けると市場や我々の暮らしはどうなるのか?

『一時レイオフの米労働者、4分の1近くは恒久的失業も』というブルームバーグの記事で、ゴールドマンは財政支援やPPP(給与保証プログラム)による支援が底を突くことで、恒久的失業者がさらに増えると予想しているという。こうなると、給付金もQE(量的緩和)と同じく、一度始めるとなかなかやめることが出来なくなってくるが、その給付金とQEこそが現在の株式市場の上げの原動力である。

 ドイツ経済研究所が8月18日にベーシックインカムに関する3年にわたる調査研究を開始したという。「120人が毎月1,200ユーロ(約15万円)を受け取る。研究者はその後、1380人の現金支給を受けていない人々の体験と比較分析を行う」(ビジネスインサイダー)らしい。

 いずれにせよ、経済は国家や中央銀行の政策頼みで、給付とかベーシックインカムとかMMT(現代貨幣理論)といった社会主義政策の方向に舵を切っているようにみえる。このようなバラマキ政策を続けると、市場やわれわれの暮らしはどうなるのであろうか?

 著名投資家マーク・ファーバーは、「FRB(米連邦準備制度理事会)が債券市場で大部分を爆買いした場合、理論的には資産価格は月に打ち上げられ、そこから最終的には地面すれすれで落ち着くだろう。債券市場が行き詰まると、価格調整で残る手段は唯一、米ドルの価値となる」と、発言しているが、現状は資産価格が月に打ち上げられている過程らしい。

 これを簡単に言うと、NYダウはMMTによってNYダウは100,000ドルになるが、中産階級はいなくなり(ゼロ)、スタグフレーション(不景気の物価高)で、ハーフタイムのビールを 100ドル払わないと買えない時代がくるらしい。

 IMF(国際通貨基金)は各国の債務状況を調べた結果、経済の発達した先進国らがコロナウイルスの感染防止対策に支出を拡大した結果、国家債務が第2次世界大戦来の記録的レベルに達しており、この縮小は容易には達成できないとの見方を示している。

過去の財政刺激策

出所:ゼロヘッジ

 富の格差など、MMTで引き起こされる不均衡をどうするのか。確実に続くことになる低成長をどうするのか。消費者物価指数によるインフレ示唆があまりにも遅すぎて債務累積の速度を落とせない場合はどうするのか・・など、バラマキ政策には持続不可能な問題が多い。

 ジェフリー・ガンドラックが言うように、「フェアで機会がある良い社会を作ろうというのがMMTであっても、実際には結果は逆となり、本当の問題を見過ごしていることに過ぎない」だろう。こうしたバラマキバブルは結局のところ、ツケを先送りしているに過ぎない。「宴が終わった時、誰がその費用を支払うのか」ということが問題になる。