米国の基軸通貨特権ははたして今後も続くのか?

 1カ月前に中国銀行保険監督管理委員会のGuo Shuqing委員長が米ドルに対して強い警告を発した。

 その内容は以下のとおりである。

  • FRBは世界の事実上の中央銀行である。その政策が波及効果を考慮せずに自国経済を対象とするとき、FRBが「ドルと米国の信用を過剰に奪い取る可能性が非常に高い」
  • パンデミックは長期間続く可能性があり、各国は影響が薄れたままこの問題に資金を投じ続けている。「もう一度考えて、将来のためにある程度の政策的余裕を持っておくことを勧める。」
  • 無料のランチはない。インフレに注意しよう。
  • 金融市場は実体経済から切り離されており、このような歪みは「前例がない」。政策の撤退が始まると「本当に苦しい」ことになるだろう。

「国内の借金は借金ではないが、国外の借金は借金だ。と言う人がいる。米国にとっては、対外債務であっても借金ではない。これは過去にもかなり長い間そうだったが、果たして今後も続くのだろうか?」と、中国銀行保険監督管理委員会は警鐘を鳴らしている。

 過去のレポートやセミナーでマーク・ファーバー博士のドルインデックスの分析を取り上げた。過去5年間、米ドルは比較的狭い範囲で推移してきたが、今、静かにドルの下離れが始まっているのではないだろうか?

ドルインデックス(2018~2020年)

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート(パンローリング)

ドルインデックス(2008~2020年) 

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート(パンローリング)

 日本銀行の紙幣増刷が無限大介入のFRBに後れを取っている。ずっとレンジ相場が続いているドル/円相場だが、中期的に円高・ドル安になる可能性が高まっている。

日銀の紙幣増刷が無限大介入のFRBに後れを取っている

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート(パンローリング)