CEOの行動はどんな指数や株価よりも確かな判断材料になる

 600ドルの加算給付を来年1月まで延長することを主張する米民主党が、ホワイトハウスと協議しているがまだ合意に至っていない。共和党は譲歩する用意があるようだが、トランプ米大統領は、「失業手当が手厚いと職場復帰しなくなる」と、譲らない姿勢を見せている。しかし、「どのみちカネはばら撒かれるだろう」ということで、昨日のNYダウ平均株価はバラマキ期待から373ドル高で引けている。

NYダウ(日足)

 買いトレンドシグナル=グリーン・売りトレンドシグナル=オレンジ
出所:パンローリングカスタムチャート・石原順インディケーター

 景気は悪いが、QE(量的緩和)をやめることができなくなった中央銀行によって、株式市場だけが国家公認のとばく場として振るわっている。だが、注意したほうがいい。アマゾンのジェフ・ベゾスがここ数日で保有するアマゾンの株式19億ドル相当を売却している。金融市場が高値に向かって順調に上昇していた2019年、過去最高となる1,480人のCEOが辞任した。最近、金融機関のCEOが株を売っているという報道が多いが、企業のインサイダーと言われる人々は、今年の株式市場が崩壊する直前に数十億ドル相当の自社株を売却しているのである。

 米民間調査会社のコンファレンスボードが7月2日に発表した2020年第2四半期のCEO信頼感指数は44と、第1四半期の34から10ポイント改善した。CEO信頼感指数は消費者信頼感指数で知られているコンファレンスボードが発表する指標のひとつで、企業トップにアンケートで景況感、雇用情勢、所得などを調査するものである。50が強弱の分かれ目であり、一般的には43を割り込むとリセッション入りを示唆するとされている。

S&P500(青)とCEO信頼感指数(水色)の推移

出所:ISABELNET

 これまで1990年や2000年10月には30近辺まで低下したことがあった。また2008年10月には20台まで下がり、その後、リセッション入りとなった。直近ではすでに昨年7月の時点で40を割り込み30近辺まで低下している。CEO信頼感指数を注視したい。