バークシャー・ハサウェイ・エネルギーについて

 バークシャー・ハサウェイ・エネルギー(BHE)は、当社グループ入りして20周年となります。アニバーサリーであることから、会社の今までの実績についてお伝えしたいと思います。

 まずは、電気料金のトピックから始めたいと思います。当社が2000年にBHEの76%持分買収を通じて電力事業に参入した時、アイオワ州の住民はキロワット・アワー(kWh)当たり平均8.8セント支払っていました。それ以降、電気料金価格上昇率は年間1%以下であり、さらには2028年までベース料率の価格上昇がないことを我々は約束しました。

 これとは対照的に、ほかの投資家が保有するアイオワ州大手電力会社は昨年BHEよりも61%高い料率を住民に請求していました。最近、その電力会社は料率の引き上げを行い、BHEとの差は70%に拡大しています。

 その電力会社と当社との間の桁外れに大きい料率差異の大部分は、当社風力発電における大きな成功によるものです。2021年には、BHEが保有・運営する風力タービンにより約25.2百万メガワット・アワー(MWh)の電力発電を予想しています。この電力は年間約24.6百万メガワット・アワー(MWh)を消費するアイオワ州の住民の需要を完全に満たせる量です。換言すれば、当社風力発電のみでアイオワ州が自給できるということです。

 比較は続きますが、その他社の電力会社の風力発電比率は10%に満たないのです。我々はほかの投資家が保有する電力会社(場所を問わず)で、2021年までに風力で自給できる会社を知りません。2000年当時BHEは主に農業関連の事業に電力の供給をしていましたが、現在5大顧客の内3社はハイテク大手です。彼等がアイオワ州に工場を建設した決断の背景には、一部にはBHEの低価格な再生可能エネルギー供給能力があったものと考えています。

 もちろん、風は断続的であり、アイオワ州にある我々のプロペラはある時間のみしか回転しません。風がない時は、我々の風力以外の発電キャパシティを用いて必要電力を確保します。これと反対の時には、「グリッド」と呼ばれる設備を通じて、余剰風力電力を他電力会社に販売します。我々が彼等に売る電力は、彼等のカーボン資源需要(例えば、石炭や天然ガス)を置き換えるものです。

 ウオルター・スコット(ジュニア)とグレッグ・アベルとのパートナーシップにより、当社は現在BHEの91%の持分を保有しています。買収以降BHEは、当社に配当金を支払ったことがなく、これまでで合計280億ドルの利益を留保しました。このやり方は、電力会社の世界では異例なものです。なぜなら、一般的に電力会社は大きな配当金を支払う(場合によっては、利益の80%かそれ以上)からです。我々は事業への再投資ができればできるほど、好ましいという見方を持っています。

 現在、BHEには1,000億ドル超の投資が必要な巨大発電プロジェクトを、管理できる人材と経験があります。この様なプロジェクトは、インフラ整備を通じて我々の国、我々のコミュニティ、そして我々の株主に資するものになり得ます。我々はこのような機会を手にする意欲と能力があり、準備ができています。

 次回は、保有している投資先と現在の株式市場への見方、そして、バフェット氏の亡き後についてお伝えします。

ウォーレン・バフェット 株主への手紙2019(4)バフェットの遺言>>

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(1)内部留保が持つ力
(2)多様な事業