2013年以降「戦後最長の景気拡大が続いている」と言われているが、実態は危うい

 2013~2019年まで7年にわたり「戦後最長の景気拡大が続いている」と言われています。ところが、実際には、景気後退ぎりぎりまで悪化して辛うじて持ち直した局面が2回あります。

日本の実質GDP成長率(四半期ごと、前期比年率):2013年1-3月~2019年10-12月

出所:内閣府

 まず、2014年4~6月です。消費増税が5%から8%まで引き上げられた影響で、消費が大きく落ち込み、GDPが前期比年率▲7.4%と大きなマイナスとなりました。景気後退に近い状況となりましたが、ぎりぎり景気後退には至らず、14年後半に景気は持ち直しました。

 次に、2015年後半~2016年3月です。中国景気が悪化して「チャイナショック」と呼ばれました。その影響で、世界景気が減速し、日本の景気も悪化しました。ただし、この時も、ぎりぎり景気後退には至らず、16年後半に世界景気が持ち直すと、日本の景気も回復しました。

 2019年に入り、日本の景気は景気後退ぎりぎりまで悪化しています。10~12月GDPは、中国景気の悪化と消費増税(8%→10%)の影響で、予想以上に大きなマイナスとなりました。

 ここで新型肺炎の追い打ちを受けて1~3月の景気がさらに悪化すると、戦後最長と言われた景気拡大は、途絶えることになります。