家計の救済策

介護による家計の負担を減らす

(1)介護保険の制度を知る

 40歳以上であれば原則、誰もが納める介護保険料ですが、せっかく納付していても適用範囲を理解できていなければ、意味がありません。介護サービスの利用で介護保険が適用される範囲は幅広く、少ない自己負担額(1〜3割)でさまざまなサービスを利用することができます。

 大きく分けると、居宅サービス・施設・介護にかかる諸経費において適用されるものがあります。

 通常の健康保険と違い、介護保険サービスを利用するには要支援・要介護の認定が必要になるため、まずはお住まいの市区町村の介護保険担当窓口で申請することから始めます。

(2)親の資産を整理する

 介護保険適用外の費用や施設の入居金など、まとまった支出も考えられます。子である自分たちの家計から支出する負担が抑えられるように、親本人のために使える資産を整理しておきましょう。 

 親子間だと、普段はお金の話はなかなかしにくいものですが、介護を話の糸口にすれば、お金の問題についても自然に話せるはずです。親が受け取っている年金だけでなく、金融資産や不動産などの資産をきちんと把握し、現金化できるものがあるか確認しましょう。

 親本人が認知症などで、資産の把握や現金化の手続きが難しくなることも考えられますが、早め早めに整理をすることで、これを回避できる可能性も十分あります。

(3)介護費用に充てやすい金融資産を把握する

1:現預金
 資産を整理するとき、まず最初に確認するのは銀行残高です。本人に確認することはもちろんですが、通帳で確認するだけでなく、タンス預金や自宅の金庫、銀行の貸金庫などに分散している可能性もあり、しっかり確認しましょう。

2:有価証券
 株式や投資信託などは有価証券と呼ばれますが、証券会社や一部の銀行でも取り扱われている場合もあります。銀行と違って通帳などはないので、定期的に送られてくる「取引残高報告書」などから、取引している証券会社を確認しましょう。高齢者の中には、銀行にはない資産は「使えるお金」と考えていない方もいるので、もし有価証券を持っている場合は、残高明細を確認することを忘れないでください。

3:保険
 生命保険の中には解約時に戻ってくるお金(解約返戻金)や、年金保険のように一定期間や終身でお金を受け取れる保険があります。今販売されている保険に比べると、80歳前後の方が加入されている保険は条件面で良い商品も多くあります。ただし、保険は万が一のために加入しているケースが多いので、どの保険にいくら入っているかを正確に把握している方は少ないようです。「保険証書」や「保険設計書」から現状把握に努めましょう。担当者がいる場合は、連絡先を知っておくことでスムーズに手続きが進むでしょう。