パラジウムは限定的な供給と増大する消費のため、条件次第でさらに上値を伸ばすか

 今後のパラジウムとプラチナの価格動向について、どのように考えればよいのでしょうか。

 パラジウムの供給が緩やかに増加した理由は、主にリサイクルによる供給が増加したこと。2018年は2010年比で、鉱山生産が5.1トン増加(2.5%増加)だった一方、リサイクルによる供給は23.8トン増加(50.2%増加)でした。

 パラジウムが専門の鉱山があるわけではなく、ニッケルなどの金属を生産する際に得られる副産物という特徴があるため、生産量の増減を消費動向に応じて柔軟に調整することが難しいとされています。

 その意味では、今後もパラジウムの自動車排ガス浄化装置向け消費が増加し続ければ、パラジウム価格は上昇し続ける可能性があります。

 パラジウムの自動車排ガス浄化装置向け消費については、フォルクスワーゲン問題発覚後、欧州でプラチナを排ガス浄化装置向けに用いるディーゼル車からパラジウムを用いるガソリン車にシフトが進んでおり、かつ、ガソリン車だけでなく普及しつつあるハイブリッド車でもエンジンから排出される排ガスを浄化する装置にパラジウムが用いられるケースがあると言われています。

 また、フォルクスワーゲン問題発覚以前からの流れである、北米や中国における自動車排ガス浄化装置向け消費の増加(≒ガソリン車の生産台数の増加)が、現在も継続していることも、今後のパラジウムの消費を増加させる可能性があります。

 足元、パラジウム価格は1トロイオンスあたり1,815ドル近辺です。消費の増加が続くこと、供給が極端に増えないこと、かつ米中貿易戦争が沈静化するなど大きな懸念が払しょくされる期待が高まり、株価が大きく上昇する、などの複数の材料がそろえば、パラジウム価格は2,000ドル近辺まで、上昇する可能性はあると考えています。