NISAとつみたてNISA、どう使い分けるべき?

 NISAには、2014年から始まった従来型「NISA」と、2018年から新たに始まった「つみたてNISA」の2種類があります。1年間にどちらか1つしかできません。両者の大きな違いは、非課税となる期間、年間上限額、そして、対象商品の3点です。概要は、以下の通りです。

NISA・つみたてNISA概要

出所:楽天証券経済研究所が作成

これまでやってこなかった人は、今年から始めるべき

 これまでNISAやつみたてNISAをやってこなかった方は、今年から、始めるべきと思います。世界的に株が下がり、円高が進んだ今は、始めるのに良いタイミングと判断しています。これまで投資してきた方は、継続して投資していくべきと考えます。

 NISAに投資していく場合、現在の予定では2023年まで、毎年新規に120万円の非課税投資枠を得ることができます。2019年から始めて2023年まで毎年120万円ずつ非課税投資をすれば、5年でかなり大きな非課税投資枠が得られます。

 ただし、非課税枠は、以下の場合に消滅することを理解していてください。

【1】枠を得てから5年後
 →2019年に得た枠は、2023年末で終了します。

【2】5年たつ前に買った金融商品を売却した場合
 →売却益は非課税ですが、売却した部分は非課税枠が終了します。少しずつ売却していく場合は、売却した分だけ非課税枠が減少していくことになります。

【3】120万円まで投資せずに非課税投資枠を残した場合
 →年内に投資しないで残った非課税枠は消滅します。次の年に引き継げません。たとえば、2019年に120万円のNISA非課税枠を得ても、2019年末(受渡ベース)までに70万円までしか投資しなかった場合、残りの50万円の非課税枠は消滅します。2020年に引き継ぐことはできません。

NISAとつみたてNISA、どちらを使ったら良いか

 2019年の非課税投資枠として、NISAかつみたてNISA、どちらか1つしか選べません。NISAは、1年間に120万円まで非課税枠がありますが、5年しか有効ではありません。単純計算すると5年間で、120万円×5年=600万円の非課税枠を使えることになります。

 一方、つみたてNISAでは、40万円しか非課税枠が得られないものの、20年間有効です。単純計算すると20年間で、40万円×20年=800万円の非課税枠を使えることになります。どちらが有利とは、一概に言えません。

 1年ごとにNISAとつみたてNISAを交互に使うのも良いでしょう。2019年はつみたてNISA、2020年はNISAといった具合です。また、夫婦で使い分けても良いでしょう。2019年に夫がNISA、妻がつみたてNISAという具合です。2020年には、逆にして、夫がつみたてNISA、妻がNISAという使い方も可能です。

 既に、120万円の投資資金をお持ちの方は、非課税枠が大きいNISAを選んだ方が良いでしょう。年間40万円くらいしか投資できず、毎月積み立てでコツコツ投資していきたい方は、つみたてNISAの方が良いと思います。

 投資対象の違いも考慮に入れる必要があります。つみたてNISAは投資信託だけになります。個別株に投資したい場合は、NISAを選ぶ必要があります。

 つみたてNISAは、国の定めた条件を満たした投資信託しか買うことができません。ただし、手数料が高すぎず、インデックスファンドなど分散投資ができているファンドしか投資対象として指定されていません。手数料が高すぎる、不適切なリスクを取っている投信を、ついつい買ってしまう人は、つみたてNISAにすれば、その心配がありません。