日銀はいずれ年6兆円規模の買い付け額を縮小しなければならなくなると予想

 

 中央銀行である日銀が、年6兆円規模の買いを続けているのは、異常と考えています。いずれ買い付け額の縮小を議論しなければならなくなると、予想しています。

 中央銀行の主な役割は、円滑な資金供給を通じて、経済を活性化することにあります。日銀は、インフレ期待を高め、設備投資に点火することを目指し、異次元金融緩和を実施してきました。ところが、いくら金余り状況を作っても、インフレ期待は高まってきません。そこで、株を大量に買い付けて、景況を良くする奇策に出たのです。

 本来、金融緩和→インフレ期待上昇→設備投資拡大→日本株上昇をねらっていたのが、いつまでもインフレ期待が高まらないことに業を煮やし、ついに日本株を直接買う奇策に出たわけです。

 その奇策も、有効に寄与しているとは、言えません。ただ、個人投資家の買い場を奪っているだけで、日経平均が上昇するか否かは、結局、外国人投資家次第という状況が続いています。私は、早晩、6兆円規模の買い付けを縮小する議論が必要になると考えています。

日銀が買いをやめるとどうなるか?

 

 私は、日銀の買いは、日経平均の水準に影響していないと考えています。日経平均の上値を追って買うのは外国人で、下値を叩いて売るのも外国人です。外国人は、なんのしがらみもなく、買いたい時に買い、売りたい時に売っているだけです。日経平均の水準は、その外国人しだいで決まっています。日銀が買いをやめても、日経平均の水準を決めるのは外国人という状況は変わらないと思います。

 ただし、日銀の買いがなくなると、日経平均のボラティリティ(変動性)は大きくなると思います。外国人が売って日経平均が下がる時、すかさず下値に買いを入れる主体がなくなるからです。日経平均のボラティリティが大きくなると、個人投資家が買いにくくなると言う人もいますが、私は逆だと思います。

 過去に何度も見られたことですが、日経平均がしっかり下げれば、個人投資家は積極的に買ってきます。日銀が買わない分、日経平均のボラティリティが大きくなり、その分、個人投資家が買う機会が増えると考えています。

 最終的に、日経平均がどうなるか?それは、日銀の買いの有無ではなく、日本企業のファンダメンタルズ(業績とバリュエーション)によって決まると考えています。日銀の売買は、短期的な変動に影響しているだけと考えています。

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