日銀の買いがなかったら、日経平均はもっと安い水準に留まったか?

 主体別売買を見ると、日銀が大量に買って日本株を支えているように見えます。日銀の買いで、日経平均は2,000円くらい嵩上げされていると言う人もいます。もし日銀の買いが無かったら、日経平均は今より2,000円下の1万9,000円強に留まっていたのでしょうか?

 私は、そのようなことはないと思っています。日銀の買いがあってもなくても、日経平均は現在の水準(2019年10月7日時点で2万1,375円)に近いところにあると思います。なぜならば、いつも日経平均を動かしているのは、外国人投資家だからです。

 日経平均が急落する時は、外国人が売っています。日経平均が高値を取る時は、外国人が買っています。外国人が買うと上がり、売ると下がる傾向は、過去20年続いてきたことで、それは今も変わっていません。

 外国人は、日本の景気・企業業績、世界の政治経済の動き、日本株のバリュエーションなどを睨みつつ、日本株が売りだと思えば売り、買いだと思えば買っているだけです。

日銀は、個人投資家の買いの機会を奪っただけ

 それでは、日銀の買いは、何に影響したのでしょうか?日銀は、日経平均が下げた日に大口買いを入れることを徹底しています。外国人が売りに回ったとき、すかさず買って、日経平均が大きく下げるのを防いできました。

 個人投資家は、日経平均が上がる局面で売り、下がる局面で買う傾向が鮮明です。外国人と反対の売買をしていることが多かったと言えます。外国人が買うと売り、売ると買っています。

 ところが、2017年以降は、個人投資家の売買動向に変化が見られます。外国人が買って日経平均が上がる局面で売っているのは同じですが、外国人が売って日経平均が下がる局面であまり買えていません。

 2017年以降は、日経平均が下がるとすかさず日銀が大量買いを入れて相場を支えるので、個人投資家が買いたいと思う水準まで下がらなくなっていました。もう少し下がれば、個人の買いが増えるところで、日銀が買って、下げを防いでいました。
結果的に、日銀は、個人投資家の買い場を奪っていただけと考えています。