10:運用商品は3つ知っていれば十分です!

余計なものを知ると、かえって間違いやすい

 個人がお金の運用を行う場合、現状では、リスクを取らない運用の対象として、「個人向け国債変動金利型10年満期」、リスクを取る運用対象として「外国株式(先進国株式)のインデックスファンド」と「TOPIX連動のインデックスファンド」の3つを知っていれば、それで十分であり、これら以外の運用商品・サービスは必要ない。

 財務省のホームページでは「変動10」と略称されている個人向け国債は、(1)銀行預金より安全で、(2)金利上昇リスクに強く、これら2点だけでも強力な好材料だったのに、加えて現在では(3)最低利回りの0.05%が長期国債や銀行の定期預金など他の金融商品に比べて有利な利回りになっている、という3つの点で現在、圧倒的に有利な金融商品だ。

 また、リスクを取る運用では、内外のインデックスファンドを組み合わせて持てば十分であり、それぞれノーロード(購入手数料ゼロ)は当然として、運用管理手数料が安い物を1本ずつ選んでおけばいい。

 余計な運用商品を検討すると、手間も時間も無駄だし、間違いを犯す可能性が大きくなる。

 確定拠出年金を利用する場合は、外国株式(先進国株式)のインデックスファンドの手数料の安いものから検討すると、早く正解に辿り着く場合が多い。筆者の見るところ、それよりも手数料が高い運用商品の選択肢が正解になるケースはほとんどない。

 基本的には、リスク資産で運用する額を決めて、これを6:4くらいで、外国株式のインデックスファンドとTOPIX(東証株価指数)連動のインデックスファンド(ETF[上場投資信託]がいい場合が多い)に振り分けて、リスクを取りたくないお金は、個人向け国債「変動10」と普通預金に置いておくといい。

 個人向け国債「変動10」と、内外の株式インデックスファンドの3つを組み合わせたポートフォリオは、現状では、機関投資が運用可能な債券ポートフォリオよりも個人向け国債「変動10」の方が優れていることもあって、プロでも、これを上回る運用を行う事は簡単ではないことを付け加えておこう。

 運用は、自分で判断できるシンプルなもの「だけ」を手がけるといい。人生には、お金の運用よりも大事なことがたくさんあるので、運用が趣味でも仕事でもない人は、運用に余計な手間を掛ける必要はないし、その方が、間違えにくくもある。

 もちろん、運用を趣味にしたい人はまた、別途大歓迎したいと思っていることを最後に付記しておく。