8:低成長でも株式は儲かっておかしくない

「分かっている低成長(高成長も)」はそれなりにプライシングされる

 日本は、人口が減り低成長なのだから、日本の株式を買っても儲からないという人が、素人にもエコノミストにもよくいるが、正しくない。

 株式は、将来予想されるキャッシュフローを、リスクプレミアムを含む割引率で現在価値に割り引いて価格が決定される、と考えられる(図1参照)。

(図1)

 低成長なものは低成長なりに、高成長なものは高成長なりに、将来予想されるキャッシュフローに対して、リスクに見合う割引率が設定されて、現在価値に割り引かれて株価が決定される。

 現在の株価は、将来の成長率予想を織り込んでいると考えられる。投資のリターンにとっての問題は、(1)割引率の大小と、(2)実際の将来の成長率と予想成長率との差、である。仮に、リスクプレミアムが一緒で同じ割引率なら、高成長・低成長いずれであっても、予想通りの成長率が実現した場合のリターンは、原則として同じになる理屈だ。