2:資金の使用目的は運用方法と無関係

将来のお金の使い道を「今」決める必要がありますか?

「お金」というものの大きな長所は、使途を後で決めることができることだ。

 例えば、手元にある5百万円を「18年後の子供の学費」と今決める必要はない。18年後に事業資金にしてもいいし、18年を待たずに途中でスポーツなどのレッスン代にしてもいいし、もちろん、食費や遊興費にしてもいい。

 また、病気への備えは、民間の医療保険を使うと効率が悪い。そもそも、健康保険に入っていれば、「高額療養費制度」があるので、別途保険を準備する必要がないし、保険料分を余計に貯蓄しておくと、将来、病気をしなかった場合には、別の目的に使える。

「将来の夢を考えて、お金に色をつけてみましょう」などと、ライフプランと運用を関連づけようとするFP(ファイナンシャルプランナー)を時に見かけるが、FP商売としては上手いのかもしれないが、運用に関する知識はインチキである。

 運用の手段の選択は、将来の運用資金の使用目的の影響を受けない。

3:運用に目標額は要らない

お金が増えすぎて困ることがあるでしょうか?

 運用にあたっては、いつまでにいくら資産を作るといった目標をはっきり決めて意識することが大事だと言われることが多いのだが、これは、本当だろうか。

 例えば、「退職までに5千万円作る」といった目標は、運用にとって大事なのだろうか。

 筆者は、この種の運用目標は不要であり、かえって有害な場合がある、と考える。

 不要な理由は簡単だ。目標額よりもお金が増えても、何ら困らないからだ。

 逆に、目標額を下回った場合に困る可能性があるが、そうなりそうな場合に重要なのは目標額の達成に向けてリスクを取ることではなく、貯蓄する額を増やすことだろう。運用利回りをアテにして貯蓄額を減らすのは危険だ(かつて、多くの企業年金の運用がこれで失敗した)。

 目標が必要なのは、貯蓄の方であって、運用利回りではない。