5月の株主優待銘柄

「令和元年」になって初の優待取得月となる5月。権利付き最終日は5月28日(火)で、権利獲得には28日の取引終了から翌29日(水)の優待権利落ち日までの株式保有が必要になります。

 5月優待株は、約31社※1と少ないですが、100円ショップやドラッグストアの買物券優待など使い勝手のいいもののほか、りんごジュースや大粒マスカットなど果物系優待もあります。また、翌6月末が12月決算企業の中間期にあたるため、すかいらーくHDや日本マクドナルドHDの食事券優待など人気の高い6月優待株の仕込み時の時期でもあります。
※1楽天証券「株主優待検索」(4月15日付)

 そんな5月優待で人気No.1となったのは、100円ショップを全国に展開するキャンドゥです。年1回、100株以上の保有で、株主優待券(100円+税)が一律20枚贈呈されます。約16万円の投資で100円グッズ20アイテムをゲットできるわけですから、お得感の高い優待といえるでしょう。

 続く2位はハニーズホールディングス。「GLACIER」など女性向けアパレルブランドを展開しています。自社店舗で利用可能な買物券が10株以上50株未満で500円相当、100株以上1,000株未満で3,000円相当もらえます。10株という単元未満株でも優待品がもらえるのは少額投資家にとってはうれしい限り。それが人気の高さにつながっているのかもしれません。

 第3位は100株保有で年2回、500円相当のクオカードが贈呈される住宅メーカーのタマホームです。過去にはクオカードの券面に長年、同社のCMキャラクターを務めた木村拓哉さんの画像が使われ、レアカードと人気を集めましたが、最近は自社住宅がデザインされたものになっています。これまでは同社の住宅購入などの際に100株で1%の割引を受けられる株主優待割引券ももらえましたが、こちらは残念ながら廃止されました(今回の権利確定のみクオカードに代えて割引券がもらえる特例措置あり)。ただ、業績、今期の大幅増配を決定したため、配当利回りが4%を超えているのも人気の理由かもしれません。

 第4位は、年1回、青森県産100%りんごジュース1L×3本が贈られるイーサポートリンク。同社は生鮮食品に特化した流通システムを提供する企業ですが、なぜ青森産かというと、子会社に青森県津軽のりんご販売会社があるから。

 同じく5月末の果物系優待である大黒天物産の岡山県産大粒ピレーネの場合は、同社が岡山県に本社を構えるスーパーだからです。「〇〇県特産優待」はそんなに数はありませんが、地方に対する企業のこだわりや愛着が感じられ、不思議と親近感を持てる優待品と感じます。

 第5位は宝印刷。有価証券の印刷のほか、IPO(新規公開株)や決算開示の支援も手掛け、優待は「選べるギフト」と品物を選ぶことができます。100株以上では1,500円相当の「シベールレモンケーキ」や「田舎みそと信州みそ計1.5kg」など、6つのギフトから選べます。3年以上保有すると、ギフト内容が500円アップするなど、なかなか豪華な優待です。

 第6位は、株主優待の世界では「変わり種」といえる大江戸温泉リート投資法人の自社施設利用券優待。1口ではなく、5口以上、約43万円からの投資になりますが、年2回、1,000円相当の利用券が贈呈されます。

 投資物件がホテル・温泉施設や介護施設といったリートの中には、宿泊や施設利用の割引券優待を実施している銘柄が増えています。個人投資家の投資主獲得や認知度向上がその目的ですが、リート優待が増えれば窓口が広がるので、株主優待投資家としては大歓迎です。

 そのほか、5月末優待ではドラックストア系の買物券優待も見逃せません。人気順位は低いものの、コスモス薬品なら100株で5,000円相当のお買物優待券×年2回、ツルハホールディングスなら100株以上で5%割引が受けられる「株主優待カード」と100株で2,500円相当の株主ギフト券冊子(優待権利付き最終日は5月10日)、クリエイトSDホールディングスなら100株で1,500円相当の買物優待券が贈られます。ただし、コスモス薬品は100株の最低単元株でも190万円近い投資資金が必要になるので、少し手が届かない投資金額かもしれません。

 

令和時代初の5月優待はセル・イン・メイに気をつける

 5月は「セル・イン・メイ(Sell in May)」という投資格言もあるように、株価が高値をつけて夏場にかけて軟調に推移しやすい時期です。高値をつけるのが5月初旬の場合、5月末の優待取得時期には下がり切って、割安になった株価で優待株を購入できることもあります。5月以降、株価が軟調に推移しやすい夏場は、人気優待株を底値で仕込めるチャンス到来の時期といえるかもしれません。

 平成の時代はバブル崩壊で始まったこともあり、株式投資は紆余曲折の連続でしたが、平成後半の2000年以降は、株主優待株投資の輪がどんどん広がった時代でもあります。新たな令和時代の到来で、日本の株式市場や優待株投資がどのように変化するか、熱い期待を込めて見守っていきましょう!