平成30年分の所得税の確定申告が終わりました。「配当金」や「売却益」を確定申告した方も多いことでしょう。ところで「住民税」の扱いで有利となる方法、しっかり選べていますか?

 

所得税と住民税で異なる方法を選択できること、知っていましたか?

税金の世界では、いくつかの方法のうち、納税者自身が有利な方法を選べるケースがよくあります。例えば配当金であれば、所得税では以下の3つの方法から選択できます。

1)確定申告しない(申告不要を選択)

2)総合課税により確定申告

3)申告分離課税により確定申告

 以前は、「所得税」と「住民税」とで、3つのうち同じ方法を選択せざるをえませんでした。所得税で確定申告しなければ住民税も確定申告しない、所得税で総合課税により確定申告したら住民税も総合課税により確定申告、というように。

 なお、住民税は所得税の申告書を参照しますので、所得税で総合課税により確定申告し、住民税の申告を別途しなければ、住民税は総合課税で確定申告したとみなされます。

 他方、この場合の弊害は、所得税では確定申告した方が有利であっても、住民税の所得が増えることにより国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の負担が増し、トータルでみれば損をしてしまうケースがありました。

 しかし現在は、所得税と住民税で別々の方法を選ぶことができます。所得税では総合課税にて確定申告する一方住民税では申告不要、とすることができるようになったのです。こうすれば、住民税を低く抑えられるだけでなく、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の負担が増えることを避けられます。

 

所得税で確定申告した配当金、住民税ではどうすればよいのか?

 典型的なケースが、所得税の申告で配当金について確定申告した場合です。原則として、配当金以外の所得を含めた課税総所得金額などが900万円以下であれば、所得税では総合課税で確定申告をした方が申告不要を選択するより有利です。

 では、住民税も同じように総合課税による確定申告をした方がよいのでしょうか? 実は住民税では、総合課税の税率が10%、配当控除が2.8%差し引かれて、実質税率は7.2%となります。一方、申告不要を選択した場合は、すでに源泉徴収されている5%の税率で済みます。

 したがって、一般的には住民税については総合課税で確定申告するよりも、申告不要を選択した方が有利なのです。