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 米国では、大統領の任期(1期4年)の半分となる2年が経過した年に、上院議員のうちの3分の1および下院議員全員が改選となる『中間選挙』が実施されます。各州で候補者を絞り込むための予備選挙は3月からスタートしており、本選は11月6日に実施される予定です。『中間選挙』は、これまでのトランプ政権に対する評価の機会でもあり、今後2年の政権運営の行方を左右する重要なイベントです。

 

【ポイント1】実質的なトランプ政権への信任投票

現在は上下院とも共和党が過半数を占める

 現在の米議会における議席数は、上院の定数100議席のうち与党共和党が51議席、民主党が49議席、下院では定数435議席のうち共和党が236議席、民主党が193議席(残り6議席は空席)と、両院とも共和党が過半数の議席を保有しています。今回の『中間選挙』では、そのうち上院34議席、下院の全議席が改選されます。

 

【ポイント2】下院で過半数を握る政党は?

多数党が議席数減らす傾向に

 上院で今回改選対象となるのは、共和党が8議席、民主党が26議席と共和党が有利な状況です。一方、注目されるのは下院の議席数です。過去の『中間選挙』では、大統領の政権運営への批判票が集まりやすいことから、多数党が議席を減らす傾向が見られます。

 調査会社Real Clear Politics社の現時点における議席獲得予想は、上院では共和党47議席、民主党44議席です。下院は共和党191議席、民主党が202議席と、民主党がやや有利な展開ではありますが、接戦が42議席あるため、どちらが勝利してもおかしくない状況です。

 

【今後の展開】選挙前の各党支持率に注目

 民主党が下院で過半数を奪うと、大統領と議会の間で「ねじれ」が生じ、予算編成が困難になったり、追加減税など共和党主導の立法が困難になるなど、トランプ政権がレームダック化する可能性があります。

 トランプ政権は、議席数の減少をできるだけ抑えるためにも、選挙前の支持率アップが必須です。そのための材料として通商や安全保障などが引き続き利用される公算が高くなっています。トランプ大統領が対中国をはじめとして通商政策で強硬な態度に出ているのも、支持率アップを狙ったものと思われます。これから本格化する選挙戦に向けて、各党の支持率の推移が注目されます。