国民年金を増やす裏ワザ

 ここから、国民年金をおトクにする3つの方法をご紹介します。

1.繰り下げ受給で増額

「年金の繰り下げ受給」と言い、原則65歳から受給開始する老齢基礎年金を、最長70歳まで遅らせることで、生涯受給する年金額が月額0.7%増額される方法があります。

 もし70歳から繰り下げ受給した場合は、年金額は約110万円(年額)に増やすことができます。ただし、納付した国民年金保険料分を超えて受給するには約8年かかるため、モトが取れる年齢は78歳以降ということなります。

 70歳までの生活費を確保するライフプランを立てて、年金を繰り下げ受給すれば、長生き時の備えを手厚くすることができるのです。

2.国民年金保険料の前納制度で利回りUP!

 国民年金保険料は1カ月分、半年分、1年分、2年分を前納できる仕組みがあります。2年前納をすると1万5,650円割引されるため、3.9%もおトクになります。

3.モトは2年で取れる付加年金

 さらに国民年金には「付加年金」と言って、毎月の国民年金保険料に400円追加して納付できるミニ年金があります。

 この付加保険料を納付すると、将来の老齢基礎年金に年額で付加年金(200円×付加保険料納付済月数)が上乗せされます。 

 40年間付加年金に加入した場合の保険料と上乗せ額は、次のようになります。

【40年間付加年金に加入した場合の例】

納付済保険料  …… 19万2,000円(400円×480カ月【12カ月×40年】)  

受給年金額(年額) ……  9万6,000円(200円×480カ月【12カ月×40年】) 

 付加年金は定額のため、支給額は増減しません。また「そんなにおトクなら400円と言わず、もっと保険料を払いたい!」と考えても、月400円しか納付できませんので、ご注意ください。 

 また誰でも加入できるわけではありません。 付加年金に加入できるのは国民年金第1号被保険者(学生・自営業・無職者など)のみです。 

 

ところでキホンはいくらもらえるの?

 ここで、自分がいったい公的年金をいくら払って、いくらもらうことになるか知りたい人のために、キホンをお伝えします。

 国民年金保険料は1カ月当たり1万6,340円を支払います(平成30年度時点。毎年金額が少し変わります)。保険料納付義務があるのは第1号被保険者(20歳以上の学生や自営業者、無職者、自営業者の配偶者など)です。

 この年金が受給できるのは65歳からですが、受給額は加入年数(納付期間)によって変動します。

 国民年金に20~60歳までの40年間、満期加入した人は、65歳から約78万円(年額)を生涯にわたり受給できます(平成30年4月分からの年金受給額は77万9,300円[年額])。大まかに言うと、国民年金の満期加入期間(40年間)のうち、加入期間が1年減ると老齢基礎年金が約2万円(年額)減るという計算になります。

 一方、厚生年金は収入によって納付する保険料と将来の受給額が変動します。

 大卒から65歳まで会社員で働き、平均年収が500万円の方は、65歳から受給できる老齢厚生年金は約120万円(年額)となります(年齢などによって異なります)。老齢基礎年金と合計で、毎月16万円程度を受給できるというイメージです。

 これらのキホンの年金以外に、自主的に掛け金を増やして、将来受け取れる年金を増やしたい方のために、国民年金基金(国民年金保険料を払っている方のみ)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などがあるというのが公的年金の仕組みです。

 

 いかがでしたでしょうか? 公的年金にも、いろいろおトクな方法がありますので、可能なものは活用し、将来の備えと安心を増やしたいですね。