ボーナスからの投資で考えたいこと

 トウシル編集チームから、「6月最初の原稿は、ボーナスの中から10万円投資するとしたら、何に投資するか? をテーマにして書いて下さい」という、提案があった。リクエストはめずらしい。今回はこのテーマで書いてみたい。

「10万円」は、これだけが投資額だとすると、投資を考えるにはいくらか小さいお金だが、ボーナスが例えば50万円だとすると、その中の2割に当たるので、まずまず現実的な金額だ。収入の一部を、すぐに使ってしまうのではなく、将来使うために運用に回そうという心掛けは大変いい。この10万円の投資が、将来に向けた運用のスタートになるならさらにいい。

 ところで、仮に、自分が20代のサラリーマンだとしたら10万円で行う最も効果的な投資は何か? あるいは、定年を前にした50代サラリーマンなら何か?

 人によって異なるかも知れないという留保条件付きだが、20代なら、10万円を持って大型書店に行って、「ためになりそうな本」をまとめ買いして、次のボーナスまでに読むと決意することだろう。たぶん、自分自身への教育投資が最も効果的な投資だ。それも、なんらかのスクールやジムのようなものに通うのではなく、自分で選ぶ本による自分だけの自己教育プログラムを考え、実行するところに意義がある。ビジネスパーソンの「差」とはそのようにして作るものだ。

 では、50代なら、どうだろうか。これは、かなり個人差が出そうだが、たとえば、配偶者のためにプレゼントを贈るのが、最も効率の高い投資である可能性があるのではないか。来たるべき老後に備えて、夫婦が円満であることのメリットは大きい。

 さて、本連載の性質上、金融資産への投資なら何がいいのか、ということになるが、「お金」の運用の場合は、年齢や人のタイプ、あるいは資金の使い道によって適した運用対象が異なるというようなことはない。

 お金の運用の「ニーズ」とは、誰にとっても、ただお金を効率良く増やすことだけだ。人による違いは、運用金額の大きさと、その中でどのくらいの大きさのリスクを取るかだけだ。

 

おすすめBest3

 さて、結論を先に述べるのが、お忙しい読者のためであろう。ボーナスの10万円で投資するといいと筆者が思う投資対象のベスト3をあげる。

【山崎元がおすすめるボーナスの「10万円」投資Best3】

  • 第1位 全世界株式インデックスファンド(3地域均等型)
  • 第2位 先進国株式6万円+TOPIX4万円でインデックスファンド
  • 第3位 全世界株式の海外ETFに投資するインデックスファンド

 第1位の全世界株式のインデックスファンドで「3地域均等型」のものは、1本で、先進国株式、新興国株式、TOPIX(東証株価指数)に3分の1ずつ投資できて、バランスが自動的に調整されるのでメンテナンスの手間が掛からず、債券投資部分を含まないので効率が良い。現在商品化されているものは何れも運用管理費用(信託報酬)が低廉だが、基本的に費用の安い物を選んでよい。つみたてNISAにも好適な商品だが、1本で投資を済ませるという意味では、現在10万円の投資額で利用可能なものの中では最も魅力的だと筆者が考える商品だ。

 第2位の先進国株とTOPIXを6:4で組み合わせるインデックスファンド(基本的に運用管理費用が安い物を選んで欲しい)は、筆者が単行本や原稿でよく書く投資対象だ。比率は、年金基金等の機関投資家が使っているリスクとリターンの前提から計算したものだ。iDeCoやつみたてNISAの運用方法としても使える。
 自分で少々手をかけてもいいという方は、この組み合わせからスタートするといいのではないかと思う。

 第3位の、全世界株式の海外ETFに投資するインデックスファンドは、これまでまとまった資金がなければ投資が難しかった海外ETFを、小口のお金でも投資できるようにした国内の公募投資信託だ。新興国の株式や小型株も含めて全世界の株式に広く投資するタイプのものを選びたい。ウェイトは1割に満たないが日本株も入っている。幅広い分散投資が一つの商品で実行できるのは魅力的であり、ETF自体が、資産規模が拡大すると運用管理費用が低下する仕組みになっている点も好ましい。

 これら3商品のいずれかを10万円買ってみて、これをきっかけに積立投資を始めるとなおいいし、しばらく様子を見て、次のボーナスでまた投資してもいい。また、ボーナスがあるということは、課税される所得があるということだろうから、iDeCo(個人型確定拠出年金)はぜひ最大限に利用するといい。iDeCoの中の商品選択は、第2位の組み合わせでいい。基本的に、先進国中心に外国株式のインデックスファンドが6割と、TOPIXのインデックスファンドが4割だ。それ以外の商品には、たいていおすすめしない理由がある。