iDeCoに加入すべきなのは、老後の豊かさを自力で備えるべき時代だから

実のところ、今までも、公的年金は国民の老後の「ゆとり」の部分まで支える制度ではありませんでした。そしてそれはこれからも同じです。公的年金の水準は、我々の「楽しい老後」を感じる部分に予算を回せるほどの水準ではないのです。

先ほど紹介した総務省の家計調査年報でも、毎月62,326円が年金生活夫婦の不足額となっています。実はこれ、「交際費、教養・娯楽費」といった老後の楽しみ予算の合計(約5.5万円)にほぼ相当します。つまり、ひとりひとりが楽しく老後を過ごすための予算は公的年金水準では足らない部分であり、実際の年金生活者が個人資産を取り崩してカバーしなければならない、ということです。

そして、これもまた世界的潮流です。要するに「国の年金が支えられる部分には限界があるので、自分でがんばる人は誰でも使える税制優遇支援策を講じるよ」というトレンドです。公的年金水準を国民全員を対象に引き上げることが難しい場合、自助努力で備える人については支援を講じることで、個人個人の豊かさを実現するサポートをしているというわけです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)が、そもそも、何のために位置づけられるか、わかってきたと思います。

自分で自分の老後を豊かにする努力がサポートされる制度、iDeCoを自分のために活用しよう

私たちは老後の困窮に備えるためにiDeCoを使うわけではありません。老後の基礎的な収入のベースは公的年金に頼みつつ、ひとりひとりの老後の豊かさの実現のためにiDeCoを使っていけばいいのです。

そして、確定拠出年金の本質は、「自分で自分の老後に備える人については、税制優遇を講じるのでお得に資産形成させてあげよう」ということです。だからこそ、現役世代の国民が誰でも確定拠出年金制度を活用できるようになるわけです。

iDeCoを使えば使うほど(つまり老後に備えて資産を積み増すほど)、私たちの目の前の所得税や住民税は軽減されます。22歳から60歳まで毎月1.2万円を積み立てる(元本547.2万円)人の実効税率が20%とすれば、109万円の所得税・住民税を納めずに自分の老後財産に変えるということです。

先ほどの例の1,282万円も、運用益非課税のメリットあればこそです。仮に運用益に20%課税され手取りが年3.2%にダウンすれば60歳時点の受け取りは1,066万円になってしまいます。要するに216万円分は運用益非課税という節税効果により老後の財産増につながったということなのです。

合計すれば300万円以上の節税です。それでも国は税収が減少する可能性に目をつぶって、国民の自助努力を支援しようとしています。これに乗らない手はありません。それは流行でもセールストークでもなく、自分自身の老後を豊かにするためです。

ところで、iDeCoの税制優遇チャンスは毎月どんどん消滅していきます。今月の掛金納付の権利は翌月末に失効していくからです。つまり少しでも早く、iDeCoに加入し積み立てをスタートさせることが重要です。(2018年1月から掛金は年単位化されボーナス月増額等に対応する予定)

自分の老後を自分で豊かにすることができるiDeCoをぜひ活用し、老後に備えていきましょう!それがiDeCo活用の理由であり、iDeCo活用によって得られる豊かな老後への一歩なのです。