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我が家の財産に50%の相続税?それって本当!?
足立 武志
知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン
難しくよくわからない「税金」。だれでもわかるように、知らないと損する情報を公認会計士・税理士かつ個人投資家がお届けします。

我が家の財産に50%の相続税?それって本当!?

2017/11/3
・相続税についての大いなる「誤解」
・大いなる誤解:我が家の相続税は税率50%?
・相続財産1億円の我が家って相続税対策は必要?
・相続税が減るのはいいけど、借入金は返せるの?
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 多くの人にとって、なじみの薄い「相続税」。そのため情報を誤解して受け取っているケースが数多くあります。皆さんも、大きな誤解をしているかもしれません。

相続税についての大いなる「誤解」

 基礎控除引き下げにより相続税がかかる家庭が増えたこともあり、相続税について発信された情報に触れる機会が多くなっています。

 しかし、その一方、その情報が正しく伝わっていないため、数々の誤解が生じています。

 一般的にみた、相続税に対する誤解には、たとえば次のようなものがあります。

・相続税の税率は非常に高く、我が家も財産の50%が税金でとられてしまう

・我が家も何か相続対策をしないと大変だ

・相続税をできるだけゼロに近付けるようにするのが相続税対策で重要なテーマだ

 いずれも、公認会計士・税理士である筆者から見れば「おいおい、ちょっと待って!」とツッコミを入れたくなるような内容ですが、こんな話は結構耳にします。

 相続税というものは、ほとんどの方にとってはなじみが薄いものです。そのため、マスコミのやや誇張された報道や、過度の問題提起を見聞きし、誤った認識をしている方が多くいらっしゃいます。

 

大いなる誤解:我が家の相続税は税率50%?

 私のクライアントの個人投資家の方からは、相続に関する相談もよく受けます。先日も、おじいさまの相続についてこんな相談がありました。

・年齢が90歳でお子さまが3人 (おばあさまはすでに他界)

・財産は約1億円(土地6,000万円、現預金3,000万円、上場株式1,000万円)

 

[質問内容]

「相続税が50%かかると聞いたので、すぐに対策をしたい」

 

 相続税について正しい知識を持っている方であれば、1億円の財産に対し、50%もの相続税がかかることはない、とすぐにわかります。

 しかし、周りの人たちから、「相続税で財産の半分を持っていかれた」などという話を耳にすることで、「相続税ってそういうものなんだ」と勘違いしてしまっているのです。

 上記のケースで、相続税がどのくらいかかるか、計算してみましょう。

 基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 課税対象の財産:1億円-4,800万円=5,200万円

 相続税の額:630万円

 

 財産の総額が1億円で、税額が630万円ですから、財産に対する割合としては6.3%です。決して小さい額ではありませんが、「50%」とは程遠い税率です。

 相続税が50%かかると思っていたこのクライアントは、ほっとされていました。

 

相続財産1億円の我が家って相続税対策は必要?

 次にクライアントが心配していたのが、「何か相続税対策をした方が良いのではないか」という点です。

 典型例が、所有している土地にアパートを建てるというものです。

 手持ちのお金のうち1,000万円と、銀行からの借入金4,000万円の計5,000万円を使って、アパートを建てた場合、相続財産は次のようになります。

(借地権割合は60%とします)

 

・土地:6,000万円×82%=4,920万円

・アパート:5,000万円×50%×70%=1,750万円

・現預金:2,000万円

・上場株式:1,000万円

・借入金:△4,000万円

・合計:5,670万円

 

 これに対し、相続税を計算すると、87万円になります。もともとの相続税が630万円ですから、543万円の節税効果があることになります。

 しかし、筆者の考えでは、このケースで相続税対策をする必要はなく、630万円の相続税をそのまま支払うことが最も望ましいと思います。つまり、相続税対策は一切不要、ということです。

 まずこの対策をすることにより、不動産取得税、登録免許税などの税金がかかりますし、借入金の利息も支払わなければなりません。

 また、この土地を売るとなった場合、土地は更地のままのほうが売りやすいです。下手にアパートを建てることにより、逆に売却額が大きく下がってしまうこともあります。

 

相続税が減るのはいいけど、借入金は返せるの?

 そして一番の問題は、「アパートの収入で借入金を返済できるのか?」ということです。

 都心部ならまだしも、郊外のアパートの入居率をみると、50%を下回っているところも非常に多く見受けられます。

 入居率が低いと、アパートの収入で借入金の返済をすることが困難になります。そのため、手元のお金を返済に回さなければなりません。

 それができなくなった場合、アパートを売却しなければなりませんが、郊外の不動産はそもそも買い手すら誰もいないことが多く、いたとしてもかなり安い価格での売却を余儀なくされます。

 その結果、アパートの売却収入で借入金を完済できず、さらに手元のお金を使うことになります。

 アパートを建てたことにより、手元のお金がほとんどなくなってしまう可能性すらあるのです。

 さらには、アパートが空室のままで相続を迎えた場合、空室の部分については相続財産の計算上、評価額の減額ができなくなり、相続税を減らす効果が小さくなってしまいます。

 アパートを建てることが、逆に財産を減らす結果になってしまいかねません。

 それほど税額が大きくなく、現金により問題なく税金を納めることができるのであれば、相続税対策を何もしないことがベストな選択であることが多いのです。この事実を、ぜひ頭の中に入れておいてください。

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