インド株式堅調の背景に高い成長期待あり

 インド株式が相対的に堅調である要因として、世界の主要国の中でもインドの経済成長期待が比較的高いことがあります。2020年には「コロナ危機」の影響でインドの実質GDP(国内総生産)成長率は▲8.0%と落ち込みましたが、IMF(国際通貨基金)の最新経済見通しによると、2021年の+8.7に続き、2022年には+7.4%、2023年も+6.1%と相対的に高い成長率への回復軌道が見込まれています(World Economic Outlook of July 2022)。コロナ禍からの回復に加え、労働人口増加、平均所得(収入)増加、個人消費拡大、インフラ整備に伴う外資企業の進出増加、生産性改善という好循環を要因とする高成長が期待されています。

<図表2>インドの成長率予想は相対的に高い

出所)IMFの最新経済見通しより楽天証券経済研究所作成(2022年7月)

 本来、インドは潜在的に高い経済成長が見込まれています。総人口は2023年に14億人強と中国を抜いて世界最多になると見込まれています。国連の推計によると、2050年に16億人強まで増加するとの見方もあります。

 また、経済成長の原動力として注目されているのは、生産年齢人口(15歳以上64歳以下の人口)の高い伸びと総人口における割合の増加傾向です。所得格差(貧富の差)の問題はあるにせよ、一人当り平均GDP(≒平均所得)はいまだ2185ドル程度(2021年/IMF推計)と低く、平均年齢が若い(28歳)ことで、「インドの高度経済成長期はこれからが本番」とされます。

 こうして、2030年代には名目GDPで米国や中国に次ぎ世界3位となる可能性も予想されています。モディ首相は、8月15日(独立記念日)に演説を行い、25年後までに(英国からの独立後100年となる2047年までに)先進国入りを目指す決意を表明しました。同首相は、「インドは世界の製造業の拠点に成長している」と述べ、汚職撲滅を進めることで外国からの資本を呼び込み、地場産業底上げをはかり、デジタル化や若者・女性の労働参加を促すことで、ものづくり国家の実現を目指す「メイク・イン・インディア」構想を推し進めていく姿勢を強調しました。