話が少し脱線したかもしれませんが、この章で言いたかったことをまとめましょう。若い間は、まず自己投資をしましょう。「自分が働く」という最も着実な土台を整え、将来の選択肢を獲得することを優先しましょう。そして余ったお金は株式投資で自分よりも優秀な人や、自分が勤める会社よりも素晴らしい企業に稼いでもらうのです。その時、投資をほったらかしにすることなく、投資先企業の事業性や産業について、自分なりに考えるようにしましょう。そうするとビジネスパーソンとしての思考力が格段にアップして「自分が働く」という投資にも良い影響が現れます。これはまさに相乗効果です。

 この2つの投資(自己投資と長期の事業投資)は相乗効果をもって、自らの能力を増大させると同時に、他の企業を選ぶ能力も増大させます。傲慢(ごうまん)と思われるかもしれませんが、私はまさにそのような人生を歩んでいます。

 時間と少しばかりのお金を有効に配分して、自分という道具を磨き、自分よりも優秀な他人を働かせる。これが投資です。このような「人生における投資」を考える上で、「有能の境界」という考え方は優先順位を考えるのに役に立つと思います。コントロールできるのは自分の将来のみです。これに気づくことなく、自分自身ではどうしようもない境界の外にある余事に足を取られ、過去に引きずられ、他人に言われるままの人生を生きれば、相当の確率でとん挫します。たまたま成功したとしてもそれは自分の人生ではありません。人生は100年もあります。他人の人生を生きるのはまっぴら御免です。自分自身のオーナーになりましょう。

<『ビジネスエリートになるための教養としての投資』より抜粋>

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