トランプ大統領再選が揺らぐと相場は乱高下

 もちろん、日米の株式市場や為替相場は上述したファンダメンタルズ(経済の基礎的状況=株式の場合は業績見通し)要因のみで変動するとは限りません。本年は特にワシントン情勢(大統領選挙を巡る動き)に関し、「トランプ大統領再選」が市場予想コンセンサス(ベースシナリオ)となっている感があり、この面で不確実性が高まると市場は一時的にせよ乱高下する可能性があります。

 目先としては、米上院議会で先週スタートした大統領弾劾裁判がボルトン前大統領補佐官(安全保障担当)を重要参考人として招致するか否かが注目されています。ボルトン氏は近く出版される著作で、「トランプ大統領はウクライナ向けの軍事支援再開の条件にバイデン前副大統領の不正疑惑調査を挙げた」と記しています(政敵を選挙戦で不利にするために権力を乱用するのは憲法違反です)。野党民主党は「トランプ大統領は再選に値しない」と攻勢をかけるとみられます。

 また、2月3日のアイオワ州党員集会でスタートする民主党の大統領選挙公認争いの動きも注目です。直近の「民主党公認予想確率」(PredictIt)によると、左派のバーニー・サンダース上院議員の公認予想確率(40%)がバイデン前副大統領(32%)を初めて上回り「第1位」となっています(29日時点)。

「米国の富裕層が2020年の大統領選挙で最も恐れているのはウォーレン上院議員よりもサンダース上院議員の躍進かもしれない」との見方もあります。

 自由民主・資本主義経済が主導してきた米・政治経済の潮流が、「所得・富・教育・雇用機会の格差是正」(大きな政府)に向けた動きとなるか否かは、大統領選挙だけでなく世界の資本主義国のガバナンス(政治運営)に影響を与える可能性があり注視したいと思います。

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