米大統領選挙を前にした米国株市場の動きと注目点
そこで、足元の米国株市場の動きについてもチェックしています。今週に入ってからの米主要株価指数はこれまでのところ、NYダウ(ダウ工業株30種平均)が下落基調、S&P500種指数は横ばい、そしてナスダック総合指数が上昇基調をたどっています。
<図2>米主要株価指数の動き(2023年末を100)(2024年10月30日時点)
今週の米国では、アルファベットやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アップル、アマゾン・ドット・コムといった大手テック株が相次いで決算を発表するほか、週末の1日(金)には月初恒例の雇用統計(10月分)が予定される中、テック株への業績期待を先取りする格好で29日(火)にナスダックが最高値を更新する場面を見せました。
その一方でさえない動きとなっているのがNYダウです。NYダウは先週あたりから下げが目立ち始めていますが、ちょうど、「米大統領選挙戦でトランプ候補が勝利するのでは?」という見方が強まったタイミングと一致しています。
トランプ候補の掲げる政策(関税引き上げや移民対策など)が米国のインフレ圧力を高めるのではという見方が高まり、それに伴って米10年債利回りが上昇したことが株価を抑える格好となりました。
下の図3を見ても、直近の米10年債利回りは4.3%台に乗せる場面があるなど、上昇基調を強めています。
<図3>米10年債利回りの推移
米10年債の利回り上昇は、9月16日の3.6%台を底に、0.5%の利下げが決まった前回のFOMC(米連邦公開市場委員会)から始まっています。
当初の米10年債利回りの上昇は、米景気の「ソフトランディング見通し」への自信の表れと受け止められ、株式市場もあまりネガティブ視していなかったのですが、FOMC以降に公表された米経済指標の結果が強いものが相次いだことで、徐々に利下げペースの鈍化が意識され始めていきました。
その後も利回りは上昇を続け、4.2%付近から株価の上値を抑える動きが目立つようになってきました。
米大統領選挙については、「どちらの候補が勝つか?」、「その場合、どんな銘柄やセクターが有望なのか?」といったところが気になりがちですが、いちばん重要なのは、「米大統領選を経て、これまでの相場の流れや見通しに大きな変化をもたらすかどうか」になります。
その具体的な注目点として、先ほどまで説明してきた「金利」をはじめ、「景気」や「割高感」が挙げられます。