「株主優待・予想有配優先」を選択して貸株すれば、配当金も株主優待も得られる

 お持ちの株を、楽天証券の貸株サービスを利用して貸し出す場合、

【1】金利優先
【2】株主優待優先
【3】株主優待・予想有配優先

 の3通りから、どれかひとつを選んでいただくことになります。

 配当金(配当所得)も、株主優待も両方とも欲しいならば、【3】「株主優待・予想有配優先」を選択して、貸株するのが良いと思います。

【1】「金利優先」を選ぶ場合

 配当金や株主優待の権利が確定する日も、貸株の自動返却を行わず、そのまま貸株を継続し、なるべく多くの貸株金利が受け取れるようにします。権利確定日は、貸株金利が通常の5倍になります。ただし、株主優待があっても、権利は得られません。配当金は、配当金相当額(雑所得または事業所得)として、お客さまの預り金に入金されます。

【2】「株主優待優先」を選ぶ場合

 株主優待の権利確定日に、自動的にお客さまの株式が返却され、株主優待の権利を受け取ることができます。株主優待の権利が確定する同じ日に、配当金を得る権利が確定する場合は、配当金を得る権利も確定します。

 ただし、株主優待情報がない場合は、配当金の権利が確定する場合でも、株式の自動返却は行われません。その場合は、配当金(配当所得)は受取れません。代わりに配当金相当額を受取ることになります。

【3】「株主優待・予想有配優先」を選ぶ場合

 貸株をしながら、株主優待も配当金(配当所得)も両方とも欲しい方は、こちらを選んでください。株主優待または配当金の権利が確定する日には、自動的にお客さまの口座に株式が返却されます。

 ただし、予想有配優先としていても、優待のない復配銘柄で株式が返却されないケースがあります。詳しくは、以下を参照してください。

株主優待・予想有配優先の詳しい内容と注意点はこちら

気をつけるべきデメリット:「継続保有特典」のある株主優待で「継続保有」の地位が失われるリスクに注意

 2024年6月24日時点で、株主優待を実施している銘柄は、全部で1,448銘柄あります。うち、594銘柄は、「継続保有特典」をつけています。イオン(8267)イオンモール(8905)KDDI(9433)日本航空(9201)オリエンタルランド(4661)ビックカメラ(3048)などが継続保有特典をつけています。

「継続保有特典」とは、株主になってからの年数が長いほど、優待内容が増加する特典です。例えば、100株保有している株主に1,000円相当の食事券を贈呈する企業で、2年以上継続保有の場合には2,000円、3年以上継続保有の場合には3,000円相当の食事券を贈呈する場合があります。これが、継続保有特典です。

 貸株をしたまま、株主優待の権利確定日を過ぎると、優待が得られません。優待が得られないだけでなく、継続保有の地位も失われます。権利確定日の株主名簿に名前が乗っていないので、「一度、株主でなくなった」と見なされるからです。貸株をやめて、次の権利確定日で株主優待を得ても、株主になって1年未満の株主と見なされてしまいます。

「株主優待優先」または「株主優待・予想有配優先」で貸株をしていれば、優待の権利が得られる日には、貸株が返却されていますので、その時点で、継続して株主であると見なされます。したがって、「継続保有」の地位は失われません。ただし、それでも、貸株をしていると、「継続保有」の地位が失われることがあります。

 まれに、上場企業が、優待も配当も得られない任意の日に、株主名簿の確定をすることがあります。「株主優待・予想有配優先」で貸株をしていても、運悪く、任意の株主名簿確定が行われてしまうと、そこで、継続保有の地位が失われます。

「継続保有特典」のついた銘柄で、「継続保有」の地位を大切にしたい場合は、その銘柄は、貸株に出さない方が無難と言えます。

 なお、継続保有特典のある銘柄は、以下、楽天証券の「株主優待検索」に入れば、調べることができます。「株主優待検索」の左側にある「検索条件を指定」の欄の下の方に「優待内容」という項目があります。「優待内容」の一番下にある「継続保有特典」のボックスにチェックを入れていただくと、特典をつけている全銘柄が表示されます。

株主優待検索

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