ナスダック相場が連日で最高値を更新した原動力は?

 米国市場では大型ハイテク株が上昇し、ナスダック総合指数は7日連続で最高値を更新しました(18日)。中でも、生成AI向け半導体を手がけて業績が好調なエヌビディアの株価が上昇し、時価総額(市場が評価する企業価値)は18日に初めて3.33兆ドルを超え、マイクロソフトやアップルを抜き世界首位となりました。

 AIの収益化を目指す事業展開で先行しているマイクロソフトも時価総額を伸ばし、前週の開発者会議で「アップル・インテリジェンス」と呼ばれるAI搭載のデバイス(iPhoneなど)発売計画を発表したアップルの時価総額も増加しました。

「新しい産業革命が始まった」(エヌビディアCEO)との発言に象徴される生成AIの急速な需要拡大を巡る期待が広まり、周辺のハイテク関連・半導体関連銘柄にも買いが広まりました。その昔、米国で「ビッグスリー」と呼ばれたのは自動車大手3社(GM、フォード、クライスラー)でした。

 今や、それぞれの時価総額が3兆ドルを超えるエヌビディア、マイクロソフト、アップルの3社が「新・ビッグスリー」(3兆ドル・クラブ?)といえそうです。実際、第4次産業革命の進展に伴う主役交代で、株式市場のけん引役は変化してきました。

 図表2は、GAFAM(大手ハイテク株)にエヌビディアを加えた6社の時価総額の年初来推移を示したものです。「新・ビッグスリー」の時価総額合計は9.9兆ドル(約1,554兆円)超となり、時価総額加重平均指数であるS&P500の時価総額ウエートで3社合計が約2割を占めるに至りました(18日)。

 なお、同じく時価総額加重平均指数であるオールカントリー株価指数(MSCI ACWI)では米国株のウエートが6割超を占めています。こうした米国の大型ハイテク株は大幅な黒字を計上して財務基盤も堅調です。新分野への研究開発、設備投資、M&A(合併と買収)を拡大させるキャッシュフローを生み出す能力が高い点も市場から評価されています。

<図表2:「新・ビッグスリー」の時価総額(年初来推移)>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2024年6月18日)